Ziv-AfliberceptのFDA承認
商標名: Zaltrap®
臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報がFull prescribing information(英文)で参照できます。
2012年8月3日に、米国食品医薬品局(FDA)はオキサリプラチン含有レジメンに抵抗性を示すか、癌が進行した転移性大腸癌患者 (mCRC)の治療薬として、Ziv-aflibercept注射液( Zaltrap®、サノフィおよびRegeneron製薬製造)をフルオロウラシル(5-FU)、ロイコボリン、イリノテカン(FOLFIRI)と併用での使用を承認しました。 Ziv-aflibercept(旧一般名はaflibercept)は、ヒト血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体 1 および 2の細胞外ドメインの一部をヒト免疫グロブリン(Ig)G1のFc部分と結合した組換融合タンパク質です。
今回の承認は、ベバシズマブとの併用を問わず、オキサリプラチンベースの化学療法後6カ月以内に癌が増悪した転移性大腸がん患者が参加したランダム化二重盲検プラセボ対照多国籍多施設試験の結果に基づくものです。
この第3相臨床試験では、参加した1,226人の患者がFOLFIRI (イリノテカン180mg/m²を90分以上かけて点滴静注、ロイコボリン400 mg/m² を2時間以上かけて点滴静注、5-FUを
400mg/m²を急速静注、5-FU 2400 mg/m² 46時間以上かけて持続点滴静注)とziv-aflibercept (N=612)併用群又はプラセボ (N=614)併用群のいずれか一方に無作為に均等に割り付けられました。FOLFIRI 開始の1時間前にZiv-aflibercept 4 mg/kgが1時間かけて静注されました。 治療サイクルは両群で2週毎に繰り返されました。治療は癌が進行するか患者に許容不能な毒性が出現するまで継続されました。主要評価項目は全生存期間(OS)としました。ECOGの全身状態およびベバシズマブの治療歴により各治療群への割付が層別化されました。
参加した患者の年齢中央値は61歳、59%が男性、98%がECOG全身状態(PS)の0または1でした。すべての患者にオキサリプラチンの前治療歴がありました。FOLFIRI +プラセボ投与群と比べて、FOLFIRI +ziv-aflibercept投与群で全生存期間が統計学的に有意に延長しました。 [HR 0.82 (95 percent CI: 0.71, 0.94), p=0.0032, stratified log-rank test] 全生存期間の中央値はziv-aflibercept投与群で13.5 カ月、プラセボ投与群で12.06 カ月でした。無増悪生存期間の中央値はプラセボ投与群で4.7カ月に対し、ziv-aflibercept 投与群で6.9 カ月でした。 [HR 0.76 (95 percent CI: 0.66, 0.87), p=0.00007].
ziv-aflibercept +FOLFIRI 群で最も多くみられた有害事象(すべてのグレード)で、患者の20%以上に発生したもの(発現率がプラセボ群より2%以上高かったもの)は、白血球減少、下痢、好中球減少、 タンパク尿、 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)上昇、アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇(ALT)、 口内炎、 疲労感、 血小板減少、 高血圧、 体重減少、 食欲減退、 鼻血、腹痛、 発声障害、 血清クレアチニン値の上昇および頭痛でした。 最も多く見られたグレード3-4の有害事象(患者の5%以上に発生)のうちziv-aflibercept +FOLFIRI 群のほうが発現率が2%以上高かったものは、好中球減少、 下痢、高血圧、 白血球減少、口内炎、倦怠感、 タンパク尿、 および脱力感でした。
消化管出血などの重篤で時として致命的な出血がの発現がziv-aflibercept 投与群で報告されました。グレード3から4の出血事象がFOLFIRI +プラセボ群の患者の1.7%に対して、FOLFIRI +ziv-aflibercept 群の患者の2.9%に発生しました。ziv-afliberceptのラベルの黒枠警告には、出血に加え、消化管穿孔および創傷治癒不全などの重篤な有害事象の発生リスクへの注意が記載されました。
動脈血栓塞栓症事象がプラセボ投与群患者の1.7%、ziv-aflibercept 投与群患者の2.6 %に発現しました。静脈血栓塞栓症事象がプラセボ群で7%に対し、ziv-aflibercept 投与群で9%と、より多く発現ました。また、ziv-aflibercept投与群患者で、瘻孔形成、回復可能な後頭葉白質脳症症候群が発生しました。
ziv-afliberceptの推奨用量および投与スケジュールは、FOLFIRI療法と併用して2週間毎に4 mg/kgを60分間かけての静注投与するものとします。
この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。 |
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