FDAが骨または骨髄の高リスク神経芽腫にnaxitamabを迅速承認

2020年11月24日、米国食品医薬品局(FDA)は、前治療に対して部分奏効、軽度奏効、病勢安定を示す、骨または骨髄における再発/難治性の高リスク神経芽腫の1歳以上の小児患者と成人患者を対象に、naxitamab[ナキシタマブ](販売名:DANYELZA、Y-mAbs Therapeutics, Inc.社)を顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)と併用で迅速承認した。

有効性は、201試験(NCT 03363373)および12-230試験(NCT 01757626)の2件の単群非盲検試験に登録された骨または骨髄における再発/難治性の神経芽腫患者を対象に評価された。直近の治療後に疾患が進行した患者は除外された。患者には、4週間の各サイクルの1日目、3日目、5日目にnaxitamab 3 mg/kgを点滴静注し、併用療法としてGM-CSFを-4日目から0日目に250 μg/m2/日、1日目から5日目に500 μg/m2/日を皮下投与した。治験分担医師の裁量により、患者は、201試験では事前に計画されていた原発疾患部位への放射線治療を受けることが認められ、12-230試験では非標的骨病変または軟部組織病変への放射線治療を受けることが認められた。

主要有効性評価項目は、改訂国際神経芽腫反応基準(INRC)に基づく奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)であった。多施設共同試験201試験で治療された22人の患者のORRは45%(95%信頼区間[CI]:24%~68%)であり、奏効例の30%で奏効期間が6カ月以上であった。単施設試験12-230試験で治療された38人の患者のORRは34%(95%CI:20%~51%)で、23%の患者で奏効期間が6カ月以上であった。両試験とも、骨、骨髄、またはその両方で奏効が認められた。

処方情報には枠組み警告が含まれ、naxitamabが重篤な輸注関連反応や、重篤な神経障害性疼痛、横断性脊髄炎、可逆性後白質脳症症候群(RPLS)などの神経毒性を引き起こす可能性があることが記載されている。これらのリスクを軽減するために、患者にnaxitamab投与の前に毎回、前投薬を行い、投与中および投与終了後少なくとも2時間は注意深く観察する必要がある。

naxitamabを投与された患者に最もよくみられた副作用(いずれの試験でも発生率25%以上)は、輸注関連反応(インフュージョンリアクション)、疼痛、頻脈、嘔吐、咳、悪心、下痢、食欲減退、高血圧、疲労、多形紅斑、末梢神経障害、蕁麻疹、発熱、頭痛、注射部位反応、浮腫、不安感、局所性浮腫、過敏症であった。最もよくみられたグレード3または4の臨床検査値異常(いずれの試験でも5%以上)は、リンパ球減少、好中球減少、ヘモグロビン減少、血小板数減少、カリウム減少、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、ブドウ糖減少、カルシウム減少、アルブミン減少、ナトリウム減少、リン酸塩減少であった。

naxitamabの推奨用量は、各投与サイクルの1日目、3日目、5日目に3mg/kg/日(最大150mg/日)であり、希釈後点滴静注し、GM-CSFの皮下投与を-4日目~0日目に250μg/m2/日、1日目~5日目に500μg/m2/日で併用する。投与サイクルは4~8週間ごとに繰り返す。

DANYELZAのの全処方情報はこちらを参照。

本審査には、Real-Time Oncology Review(RTOR)パイロット・プログラムと、FDAによる評価を円滑に進めるために申請者が自発的に申請を行うAssessment Aidが使用された。

本申請は、奏効率および奏効期間に基づき、迅速承認された。本適応の継続的な承認には、検証的試験における臨床的有用性の検証および説明が条件となる場合がある。

本申請は、優先審査、画期的治療薬、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定を受けた。この希少な小児疾患製品の申請には優先審査バウチャーが発行された。FDA迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」( Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 星野恭子

監修 遠藤 誠(肉腫、骨軟部腫瘍/九州大学病院 整形外科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

その他のがんに関連する記事

まれな唾液腺がん(ACC)にアキシチニブ+アベルマブ併用が有望の画像

まれな唾液腺がん(ACC)にアキシチニブ+アベルマブ併用が有望

【MDアンダーソンがんセンター研究ハイライト 2023/03/29】よりVEGFR阻害薬とPD-L1阻害薬の併用は腺様嚢胞がんの新規治療法となるか希少な唾液腺がんである腺様嚢胞...
PREMMplusオンラインツールで遺伝的がんリスク検査が有効な人を特定の画像

PREMMplusオンラインツールで遺伝的がんリスク検査が有効な人を特定

ダナファーバーがん研究所の研究者と医師が開発したオンラインツールにより、特定のがんの発症リスクを高める遺伝的変異について検査を受けるべき人々を正確かつ迅速に特定できることが、新しい研究で示された。 PREMMplusと呼ばれるこのツールは、
アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用は一部の神経内分泌腫瘍(NET)に有効な可能性の画像

アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用は一部の神経内分泌腫瘍(NET)に有効な可能性

一部の神経内分泌腫瘍(NET)において、ベバシズマブ(販売名:アバスチン)とアテゾリズマブ(販売名:テセントリク)の併用療法が転帰を改善する可能性が非ランダム化試験で示唆された。 「1件の小規模単群試験の結果だけに基づいて診療を変えることは
チロシンキナーゼ阻害薬が まれな神経内分泌腫瘍(MMP)の無増悪生存期間を延長の画像

チロシンキナーゼ阻害薬が まれな神経内分泌腫瘍(MMP)の無増悪生存期間を延長

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) 2021プレスリリース 悪性褐色細胞腫および傍神経節腫(MPP)を対象とした初のランダム化試験において、スニチニブ(販売名:スーテント)が無増悪生存期間(PFS)を5カ月以上延長することが明らかになった。このF