FDAがHER2陽性乳がん術後補助療法にペルツズマブを承認

2017年12月20日、米国食品医薬品局(FDA)は、再発リスクが高いHER2陽性早期乳がん患者における術後補助療法として、トラスツズマブと化学療法との併用でペルツズマブ(商品名:パージェタ、Genentech社)を使用することを通常承認した。

承認は、ランダム化する前に原発腫瘍を切除していたHER2陽性早期乳がん患者4,804人の、多施設、二重盲検、プラセボ対照ランダム化比較試験であるAPHINITY(NCT01358877)のデータに基づいて行われた。患者は術後補助療法のトラスツズマブと化学療法と併用で、無作為にペルツズマブまたはプラセボに割り付けられた。主な有効性アウトカムは浸潤性病変のない生存期間(IDFS)とし、IDFSはランダム化割り付け開始から同側の局所または局所浸潤性乳がん再発、遠隔再発、反対側の浸潤性乳がんのいずれかが初めて発現したときまでの期間、または原因を問わず死亡までの期間とした。

フォローアップ後(中央値45.4カ月)、ITT解析集団におけるIDFS事象の割合はペルツズマブ群7.1%(n=171)、プラセボ群8.7%(n=210)であった(HR 0.82, 95% CI: 0.67, 1.00; p=0.047)。ハイリスクの患者にはホルモン受容体陰性やリンパ節転移陽性乳がんの患者も含まれた。ホルモン受容体陰性乳がん患者におけるIDFSイベントの割合は、ペルツズマブおよびプラセボ群それぞれ8.2%(n=71)、10.6%(n=9)であった(HR 0.76, 95% CI: 0.56, 1.04)。リンパ節転移陽性乳がん患者のIDFS事象の割合は、ペルツズマブおよびプラセボ群、それぞれ9.2%(n=139)、12.1%(n=181)であった(HR 0.77, 95% CI: 0.62, 0.96)。全生存期間のデータはまだ十分ではない。

APHINITYにおいて、トラスツズマブおよび化学療法にペルツズマブを併用した患者の少なくとも30%に発現した副作用は、下痢、悪心、脱毛症、疲労、末梢の神経障害、嘔吐であった。最も一般的なグレード3~4の副作用は(>2%)、発熱性好中球減少症、下痢、好中球数減少、貧血、白血球減少症、疲労、悪心、口内炎であった。

初回のペルツズマブの投与量は840mgであり60分かけて静脈内注射で投与し、その後3週間ごとに420mgを30分から60分かけて静脈内注射で投与した。

全ての処方情報は下記で閲覧できる:

https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2017/125409s113s118lbl.pdf.

2012年、FDAはペルツズマブを、転移性疾患に対し抗HER2療法または化学療法を以前に行っていない、HER2陽性転移性乳がん患者の治療として、トラスツズマブとドセタキセルに併用して使用することを通常承認していた。

FDAは2013年に術前補助療法としてのペルツズマブ使用を迅速承認していた。今回新たにペルツズマブが術後補助療法として承認されたことで、同薬の術前補助療法の迅速承認に対する市販後調査要求(PMR)が満たされた。これにより、早期乳がんに対する根治治療レジメンの一環として、HER2陽性局所進行、炎症性乳がん、または早期乳がん(2cm以上の腫瘍径またはリンパ節転移陽性)患者の術前補助療法においても、トラスツズマブと化学療法併用でのペルツズマブの使用が通常承認された。

FDAは、本適応におけるペルツズマブに対し優先審査を承認した。FDAの迅速化プログラムについての情報は企業向けガイダンス、重篤疾患のための迅速承認プログラム–医薬品およびバイオ医薬品(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている:http://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatoryinformation/guidances/ucm358301.pdf.

医療従事者は、医薬品および医療機器の使用との関連が疑われる重篤な有害事象を認めた場合、すべてFDAのMedWatch報告システムに報告しなければならない。この報告は、オンラインフォームへの入力(http://www.fda.gov/medwatch/report.htm)、オンラインで提供されている料金支払い済み宛名フォームのファックス(1-800-FDA-0178)か郵送、または電話(1-800-FDA-1088)にて行う。

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翻訳担当者 古屋千恵

監修 原 文堅(乳がん/四国がんセンター)

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