Exemestane [エキセメスタン]のFDA承認
原文 2005/10/05掲載 2006/09/01/更新
商品名:Aromasin
・乳癌の治療薬として承認
本剤の臨床試験情報、安全性、投与法、薬物間相互作用および禁忌などの全処方情報(原文)が参照できます。
2005年10月5日、FDAはエキセメスタン(exemestane)錠(アロマシン、ファイザー社の製品)をエストロゲン受容体陽性早期乳癌の閉経後女性に対する術後補助療法として2-3年のタモキシフェン療法後、エキセメスタン療法に変更しホルモン補助療法の全期間5年間を終了する療法に対する適応で承認しました。
Intergroup Exemestane Study (IES)という、タモキシフェンによるアジュバント療法2~3年経過後の早期乳癌をもつ閉経後女性を対象にした二重盲検、多施設、国際臨床試験において安全性と有効性が検討されました。包括解析集団において4,724人の患者がタモキシフェン(20~30mg/日)の継続療法、またはタモキシフェン療法からエキセメスタン(25mg/日)療法に変更しホルモン補助療法の全期間5年間を終了する療法とに無作為に割り付けされました。
承認は、無病生存率(DFS)分析を基に行われました。無病生存は無作為化時点から局所または遠隔再発が発現するか、対側乳癌(もう一方の乳房における癌)が発現するか、または何らかの原因による死亡に至るまでの期間として定義されました。無作為化療法期間27ヵ月(中央値)、追跡期間34.5ヵ月間(中央値)において、DFSは、タモキシフェン療法を継続した患者と比較して、エキセメスタン療法に変更した患者で優位に改善しました(HR=0.69, 95%信頼区間: 0.58-0.82, p<0.0001)。
試験被験者の約85パーセントに相当するホルモン受容体陽性の患者群において、DFSは、タモキシフェン群と比較してエキセメスタン群において優位に改善されました(HR=0.65, 95%信頼区間: 0.53-0.79, p=0.00001)。全生存率は、2群間に優位差があるとはいえませんでした。
IESにおいてエキセメスタン群でより高頻度に発現した最も一般的な有害事象は、ホットフラッシュ、疲労、関節痛(ふしぶしの痛み)、頭痛、不眠(睡眠困難)、発汗増加、高血圧(高い血圧)、とふらつきでした。心虚血性イベント(心臓障害)は、タモキシフェン群の患者で0.6パーセント発現したのに比較して、IESのエキセメスタン群の患者で1.6パーセントに発現しました。
骨ミネラル濃度(BMD)の変化が、IESの部分試験とエキセメスタンとプラセボの2年間の効果を比較した安全性補助試験(027試験(訳注;エキセメスタンの骨代謝・ホルモン・脂質代謝・血液凝固に対する影響を調べるために行われた偽薬対照二重盲検ランダム化試験))とにおいて検討されました。腰椎と大腿骨頸部のBMDにおける平均減少値は、タモキシフェンまたはプラセボよりエキセメスタンでより顕著でした。IESに関して、タモキシフェン療法を受けた患者で2.8パーセントの骨粗鬆症の報告があったのと比較してエキセメスタン療法を受けた患者では4.6パーセントの報告がありました。
臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用と禁忌などの全処方情報Full prescribing information が参照できます。
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湖月みき 訳
榎本 裕(泌尿器科)監修
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この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。 FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。 |
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