2008/03/04号◆FDA最新情報「転移性乳癌へのベバシズマブ使用を承認」

同号原文
NCI Cancer Bulletin2008年03月04日号(Volume 5 / Number 5)
____________________

FDA最新情報

転移性乳癌へのベバシズマブ使用を承認

米国医薬食品局(FDA)は、化学療法を受けたことのない転移性HER2陰性乳癌患者に対するベバシズマブ(アバスチン)使用を、パクリタキセルとの併用使用で承認した。

ベバシズマブは、限られた臨床試験結果に基づく「迅速承認」が与えられ、致死的疾患である乳癌の患者に使用できるようになった。完全承認されるためには、現在実施されている臨床試験でベバシズマブ使用を支持する結果がさらに積み重ねられることが条件となる。

製造元であるGenetech社によると、今回の迅速承認は、第3相臨床試験においてベバシズマブ+パクリタキセル治療群では、病勢進行および死亡のリスクがパクリタキセル単独群に比べ52%低く、無進行生存期間が2倍であったことに基づいているという。

乳癌患者へのベバシズマブ投与による全生存期間の延長についてはまだ示されていない。FDAの諮問機関は昨年12月、乳癌に対するベバシズマブ使用について5対4で承認しないことを勧告した。専門家の一部は、ベバシズマブによる重篤な副作用のリスクが、癌の転移を遅らせる効果というベネフィットを上回るのではないかと懸念している。

ベバシズマブは、腫瘍に栄養を与えることとなる血管の成長(血管新生)を阻害することで抗癌作用を発揮する薬剤である。ベバシズマブは直腸結腸癌および肺癌の治療にも承認されている。

******
橋本 仁 訳
榎本 裕 (泌尿器科) 監修 
******

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

乳がんリスク評価ツールの仕組みの画像

乳がんリスク評価ツールの仕組み

2024年3月、女優のオリヴィア・マン(Olivia Munn)が乳がんと診断されたことを発表した。Munnさんはまた、がんリスク評価ツールが彼女の診断に至る過程で果たした役割を強調し...
ハイリスク遺伝子を有する若年乳がんサバイバーの生殖補助医療は安全の画像

ハイリスク遺伝子を有する若年乳がんサバイバーの生殖補助医療は安全

ハイリスク遺伝子があり、乳がん後に妊娠した若い女性を対象とした初の世界的研究によれば、生殖補助医療(ART)は安全であり、乳がん再発リスクは上昇しないハイリスク遺伝子があり、乳...
【ASCO2024年次総会】T-DXd(エンハーツ)がホルモン療法歴のある乳がん患者の無増悪生存期間を有意に改善の画像

【ASCO2024年次総会】T-DXd(エンハーツ)がホルモン療法歴のある乳がん患者の無増悪生存期間を有意に改善

ASCOの見解(引用)「抗体薬物複合体(ADC)は、乳がん治療において有望で有益な分野であり、治療パラダイムにおける役割はますます大きくなっています。トラスツズマブ デルクステ...
【ASCO2024年次総会】若年乳がん患者のほとんどが治療後に妊娠・出産可能の画像

【ASCO2024年次総会】若年乳がん患者のほとんどが治療後に妊娠・出産可能

ASCOの見解(引用)「乳がんの治療後も、妊娠や出産が可能であるだけでなく安全でもあることが、データが進化するにつれて次々と証明されてきています。この研究では、妊娠を試みた乳が...