FDAがEGFRエクソン20挿入変異陽性進行肺がん(NSCLC)にモボセルチニブを承認

2021年9月15日、米国食品医薬品局(FDA)は、FDAにより承認された検査で上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異が検出され、プラチナ製剤を用いた化学療法による治療中または治療後に進行した、局所進行または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者にmobocertinib [モボセルチニブ](販売名:Exkivity、Takeda Pharmaceuticals, Inc.社)を迅速承認した。

また、同日、FDAはモボセルチニブを投与する対象として上記の遺伝子変異を有する患者を選択するためのコンパニオン診断機器として「Oncomine Dx Target Test」(Life Technologies Corporation社)を承認した。

本剤の承認は、EGFRエクソン20挿入変異を有する局所進行または転移性NSCLC患者を対象とした国際共同、非ランダム化、非盲検、複数コホート臨床試験である101試験(NCT02716116)に基づいている。有効性は、プラチナ製剤を用いた化学療法による治療中または治療後に病状が進行した114人の患者を対象に評価した。患者は、病状が進行するか許容できない毒性が出るまで、モボセルチニブ 160 mgを毎日経口投与された。

有効性主要評価項目は、RECIST 1.1に基づく盲検下の独立中央審査(BICR)で評価した全奏効率(ORR)と奏効期間である。ORRは28%(95%信頼区間[CI]:20%~37%)で、奏効期間の中央値は17.5カ月(95%CI:7.4~20.3)であった。

最もよくみられた副作用(20%以上)は、下痢、発疹、悪心、口内炎、嘔吐、食欲減退、爪囲炎、倦怠感、皮膚乾燥、筋骨格痛であった。製品の添付文書において、QTc延長およびトルサード・ド・ポアンに関する枠囲み警告と、間質性肺疾患または肺炎、心毒性および下痢に関する警告を記載している。

モボセルチニブの推奨用量は、1日1回160 mgの経口投与で、病状が進行するか許容できない毒性が認められるまでとしている。

Exkivityの全処方情報はこちらを参照。

翻訳担当者 張知子

監修 廣田裕(呼吸器外科、腫瘍学/とみます外科プライマリーケアクリニック)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肺がんに関連する記事

【ASCO2024年次総会】進行肺がんの早期緩和治療で遠隔医療と対面ケアの有効性は同等の画像

【ASCO2024年次総会】進行肺がんの早期緩和治療で遠隔医療と対面ケアの有効性は同等

ASCOの見解(引用)「進行非小細胞肺がん患者において、早期の緩和ケアは生存期間を含む患者の転帰を改善することが研究で示されています。この大規模ランダム化試験で、遠隔医療による...
【ASCO2024年次総会】進行肺がん(NSCLC)、ロルラチニブで無増悪生存期間が最長にの画像

【ASCO2024年次総会】進行肺がん(NSCLC)、ロルラチニブで無増悪生存期間が最長に

ASCOの見解(引用)「これらの長期データの結果は並外れて良く、この研究でALK陽性非小細胞肺がん患者に対する一次治療薬としてのロルラチニブ(販売名:ローブレナ)の優れた持続的...
【ASCO2024年次総会】オシメルチニブは局所進行EGFR変異NSCLCの標準治療を変える可能性の画像

【ASCO2024年次総会】オシメルチニブは局所進行EGFR変異NSCLCの標準治療を変える可能性

ASCOの見解(引用)「LAURA試験は、切除不能なステージIII疾患におけるEGFR標的療法の役割を明確にした最初の試験である。本試験ではオシメルチニブと現在の標準治療である...
周術期ニボルマブ+化学療法が肺がんの転帰を改善の画像

周術期ニボルマブ+化学療法が肺がんの転帰を改善

周術期におけるニボルマブ+化学療法併用により、化学療法単独と比較して疾患の再発、進行、または死亡の確率が有意に低下することが第3相試験で明らかに

テキサス大学MDアンダーソンがんセンター...