転移非小細胞肺がんの初回治療にニボルマブ+イピリムマブを承認
2020年5月15日、米国食品医薬品局(FDA)は、ニボルマブ(販売名:オプジーボ、Bristol-Myers Squibb Co.社)とイピリムマブ(販売名:ヤーボイ、Bristol-Myers Squibb Co.社)の併用療法を、FDAが承認した検査でPD-L1(1%以上)の発現が確認され、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異や未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子を伴わない転移非小細胞肺がん(NSCLC)患者の初回治療として承認した。
また同日、FDAはニボルマブとイピリムマブの併用療法を受けるNSCLC患者を選択するコンパニオン診断薬として、PD-L1 IHC 28-8 pharmDx(Agilent Technologies, Inc.社)を承認した。
有効性は、転移または再発非小細胞肺がん(NSCLC)でがん治療歴のない患者を対象とした複数パートで構成されているランダム化非盲検試験であるCHECKMATE-227(NCT02477826)で評価された。試験のパート1aでは、腫瘍のPD-L1発現率が1%以上の患者793人が、ニボルマブとイピリムマブの併用療法(396人)またはプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法(397人)のいずれかに無作為に割り付けられた。
本試験において、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を受けたPD-L1腫瘍発現率1%以上の患者では、プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法を受けた患者と比較して、統計学的に有意な全生存期間(OS)の改善が認められた。OSの中央値はそれぞれ、17.1カ月(95%信頼区間[CI]:15-20.1)と14.9カ月(95%CI:12.7-16.7)であった(ハザード比[HR]:0.79;95%CI:0.67-0.94;p=0.0066)。
盲検化された独立中央判定(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)の中央値は、ニボルマブとイピリムマブの併用群で5.1カ月(95%CI:4.1-6.3)、プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法群で5.6カ月(95%CI:4.6-5.8)であった(HR:0.82;95%CI:0.69-0.97)。BICRによって確認された奏効率(ORR)はそれぞれ、36%(95%CI:31-41)および30%(95%CI:26-35)であった。奏効期間中央値は、ニボルマブとイピリムマブの併用群で23.2カ月、プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法群で6.2カ月であった。
CHECKMATE-227試験において、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を受けた患者の20%以上でみられ、最もよくみられた副作用は、疲労、発疹、食欲減退、筋骨格系疼痛、下痢または大腸炎、呼吸困難、咳、そう痒炎、悪心、肝炎であった。
転移非小細胞肺がん(NSCLC)に対する推奨用量は、ニボルマブ3mg/kgを2週間毎に、イピリムマブ1mg/kgを6週間毎に、疾患進行あるいは許容できない毒性がみられるまで投与するか、疾患進行のみられない患者には最長2年間投与することとなった。
オプジーボの全処方情報はこちらを参照。(*参考:日本語のオプジーボの添付文書はこちらを参照)
ヤーボイの全処方情報はこちらを参照。(*参考:日本語のヤーボイの添付文書はこちらを参照)
本申請は優先審査に指定された。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤患者のための迅速承認プログラムー医薬品およびバイオ医薬品」(Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
肺がんに関連する記事
肺がん患者は病気や治療を肯定的に捉えると転帰が改善する可能性
2024年12月21日
欧州臨床腫瘍学会(ESMOアジア2024)ハイライト
2024年12月20日
米FDAが、非小細胞肺がんと膵臓腺がんにzenocutuzumab-zbcoを迅速承認
2024年12月17日
STK11/KEAP1変異肺がんに免疫療法薬2剤+化学療法が有効
2024年11月18日
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、腫瘍抑制遺伝子であるSTK11/KEAP1に...