FDAが進展型小細胞肺がんにアテゾリズマブを承認

2019年3月18日、米国食品医薬品局(FDA)は、成人進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者に対する一次治療として、アテゾリズマブ(商品名:テセントリク、Genentech Inc.社)とカルボプラチンおよびエトポシドの併用を承認した。

この承認は、これまで進展型疾患に対する化学療法を受けたことがない、米国東海岸癌臨床試験グループ(EOCG)パフォーマンス・ステータスが0または1の進展型小細胞肺がん患者403人を対象としたランダム化(1:1)多施設共同二重盲検プラセボ対照試験であるIMpower133試験(NCT02763579)に基づくものである。患者は、以下のいずれかの治療に無作為に割り付けられた。

・ 1サイクル21日として最大4サイクルまで、アテゾリズマブ1200 mgおよびカルボプラチンAUC 5 mg/mL/分を1日目に投与し、エトポシド100 mg/m2を1、2および3日目に静脈内投与した後、アテゾリズマブ1200 mgを3週間に1回、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで投与する。

・ 1サイクル21日として最大4サイクルまで、プラセボおよびカルボプラチンAUC 5 mg/mL/分を1日目に投与し、エトポシド100 mg/m2を1、2および3日目に静脈内投与した後、プラセボを3週間に1回、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで投与する。

主要有効性評価項目は、治験責任医師がRECIST 1.1に基づいて評価したintent-to-treat集団の全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)であった。全生存期間中央値は、アテゾリズマブ + 化学療法群で12.3カ月(10.8~15.9)、プラセボ + 化学療法群で10.3カ月(9.3~11.3)であった[ハザード比0.70;95%信頼区間:0.54~0.91;p=0.0069]。無増悪生存期間中央値は、アテゾリズマブ群とプラセボ群でそれぞれ、5.2カ月(4.4~5.6)および4.3カ月(4.2~4.5)であった(ハザード比0.77;95%信頼区間:0.62~0.96;p=0.0170)。

IMpower133試験でアテゾリズマブの投与を受けた患者の20%以上で報告された最もよくみられた有害反応は、疲労または無力症、悪心、脱毛症、便秘、および食欲減退であった。

進展型小細胞肺がん患者に対するアテゾリズマブの推奨用量は、1200 mgの3週間に1回60分間の静脈内投与である。同日中に投与する場合、アテゾリズマブは化学療法の前に投与する。初回注入に対する忍容性が認められれば、その後は毎回30分かけて注入する。

テセントリクの全処方情報についてはこちらを参照。

FDAは、本申請を優先審査に指定した。FDAの迅速承認プログラムの内容は、業界向けガイダンス、重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 石塚かおり

監修 稲尾 崇(呼吸器内科/天理よろづ相談所病院)

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