FDAが切除不能III期非小細胞肺がん(NSCLC)にデュルバルマブを承認

2018年2月16日、米国食品医薬品局(FDA)は、プラチナベースの化学療法と放射線療法の同時併用後にがんが進行していない切除不能III期非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するデュルバルマブ(商品名:Imfinzi、アストラゼネカ社)を承認した。

承認は、切除不能III期NSCLC患者713人を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照試験であるPACIFIC(NCT02125461)における無増悪生存期間(PFS)の予定された中間解析に基づいている。患者は試験薬投与開始前42日以内にプラチナベースの化学療法と放射線療法の同時併用を完了しており、WHO全身状態(PS)が0または1であった。主要有効性評価項目は、PFS(RECIST 1.1に準拠した盲検独立中央判定)および全生存期間(OS)とした。最終解析の予定イベント数の約81%で、プラセボ群に比べデュルバルマブ群で統計学的に有意なPFSの改善が示された(ハザード比:0.52;95%信頼区間:0.42, 0.65;p値<0.00010)。推定PFS中央値は、デュルバルマブ群患者が16.8カ月、プラセボ群患者では5.6カ月であった。PFSの中間解析時点では、生存期間解析には時期尚早であった。

最も多くみられた有害反応(PACIFICのデュルバルマブ群患者の20%以上に発現)は、咳嗽、疲労、肺臓炎/放射線肺臓炎、上気道感染、呼吸困難、および発疹であった。

本適応症に対するデュルバルマブの推奨用量および用法は、2週間ごとに60分で10mg/kgを静脈投与である。

全薬剤情報は、https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2018/761069s002lbl.pdfを参照のこと。

FDAは、本申請を優先審査および画期的治療薬指定とした。

FDAの迅速承認プログラムの詳細は、業界向けガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)」で閲覧できる:

http://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatoryinformation/guidances/ucm358301.pdf

医療従事者は、医薬品および医療機器の使用との関連が疑われる重篤な有害事象を認めた場合、すべてFDAのMedWatch報告システムに報告しなければならない。この報告は、オンラインフォームへの入力(http://www.fda.gov/medwatch/report.htm)、オンラインで提供されている料金支払い済み宛名フォームのファックス(1-800-FDA-0178)もしくは郵送、または電話(1-800-FDA-1088)にて行う。

翻訳担当者 福原真吾

監修 久保田 馨(呼吸器内科/日本医科大学付属病院 がん診療センター)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肺がんに関連する記事

免疫療法薬2剤併用+化学療法はSTK11/KEAP1変異肺がんに有効の画像

免疫療法薬2剤併用+化学療法はSTK11/KEAP1変異肺がんに有効

進行非小細胞肺がんでSTK11/KEAP1変異を有する患者への併用療法により転帰が改善

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、腫瘍抑制遺伝子であるSTK11/KEAP1に...
先住民地域のラドン曝露による肺がんリスクの低減を、地域と学術連携により成功させるの画像

先住民地域のラドン曝露による肺がんリスクの低減を、地域と学術連携により成功させる

2024年ASCOクオリティ・ケア・シンポジウム発表の新研究ASCOの見解(引用)
「ラドンへの曝露は肺がんのリスクを高めますが、いまだに検査が行われていない住宅が多くあります。...
世界肺癌学会2024で発表されたMDアンダーソン演題(非小細胞肺がん)の画像

世界肺癌学会2024で発表されたMDアンダーソン演題(非小細胞肺がん)

特集:術前・術後の免疫療法、HER2およびEGFR遺伝子変異を標的とした治療など、肺がん治療における有望な臨床的進歩テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは...
肺がん手術と腫瘍病理診断の質の向上により術後生存期間が延長の画像

肺がん手術と腫瘍病理診断の質の向上により術後生存期間が延長

2024年ASCOクオリティ・ケア・シンポジウム発表の新研究ASCOの見解「過去15年間にわたり、ミシシッピ・デルタ中心部における質改善の取り組みは、この高リスク集団の...