GefitinibのFDA承認
商品名:Iressa[イレッサ]
原文 2011/1/18更新
非小細胞肺癌への承認
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2005年6月17日、アメリカ食品医薬品局はゲフィチニブ(イレッサ:アストラゼネカ社商標)の新規効能を承認した。これは治療にあたっている医師の意見として現在または以前に同薬による治療で利益を得ている癌患者への適応を限定するものである。
FDAは、「イレッサ・アクセス・プログラム」と名づけられたリスク管理計画のもと、以下の患者集団への同薬の配布を制限するアストラゼネカ社の提案に同意した。
- 現在ゲフィチニブを使用し、治療利益を得ている患者
- これまでにゲフィチニブを使用し、治療利益を得たことのある患者
- 2005年6月17日以前にIRBが承認した非治験薬(非IND)臨床試験に現在または以前に登録したことのある患者
アストラゼネカ社がINDの下で利用可能であると認め、当該患者がINDによる登録基準を満たす場合には、新規患者もゲフィチニブを使用することができる。ゲフィチニブは経口投与の上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤で、2003年5月、Subpartの下の非小細胞肺癌(HSCLC)患者用として迅速承認規定(Supart H:サブパートH)の下で上市が承認された。この規定では、臨床的有効性の代替評価項目に基づいて医薬品が承認されている。ゲフィチニブでは、代替評価項目は腫瘍奏効率であった。本剤を服用している患者における奏効率は約10%であった。
承認された適応は、確立した癌治療法(白金製剤とドセタキセル)に対して反応しなかった患者の治療であった。しかし、ゲフィチニブの当初の承認以後、エルロチニブ(タルセバ)がこの同じ患者群の治療として承認されている。エルロチニブは全生存率の改善に基づいて承認された。
FDAは失敗に終わったゲフィチニブの2つの臨床試験のデータを慎重に再評価した。そのうち1つは同剤の迅速承認の一環として当局から要請されたものであった。その臨床試験は、これまでの1~2回の治療に奏効しなかった局所進行性もしくは転移性非小細胞肺癌患者を登録した。この大規模試験では、1,692人の患者に、ゲフィチニブまたはプラセボのいずれかが投与された。本試験の対象患者全体でも「EGFR」と呼ばれる表面マーカーの発現が高い患者においても、生存率の有意な改善はみられなかった。対照的に、EGFRが高く発現されている場合は、エルロチニブへの良好な反応性が予測できるように思われる。
もう一つの臨床試験はステージIIIの非小細胞肺癌患者における試験で、化学療法および放射線療法の導入療法と強化療法が終了した後、患者にゲフィチニブまたはプラセボのいずれかによる維持療法が行なわれた。ゲフィチニブによる生存率の有益性は示されなかった。
FDAは現時点でゲフィチニブの発売中止を考慮しているわけではない。新しい臨床試験が準備中であり、進行中の他の臨床試験がまもなく完了するところである。また、上記で述べた完了済みの臨床試験に、さらなる解析が行なわれる予定である。こうした結果によって、ゲフィチニブ治療の今後の役割が決定するであろう。
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Snowberry 訳
瀬戸山 修 監修
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この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。 FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。 |
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