FDAがEGFR変異陽性の転移性非小細胞肺がん患者に対する一次治療としてゲフィチニブを承認
米国食品医薬品局(FDA)ニュース
適応患者を特定するためのコンパニオン検査も承認取得
速報
米国食品医薬品局(FDA)は、7月13日、FDAの承認を得た検査によって腫瘍内に上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異が検出された、転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する一次治療として、ゲフィチニブ[gefitinib](商品名:Iressa(イレッサ))を承認した。
肺がんは、米国におけるがん関連死の主要因である。肺がんは男性に多くみられるが、肺がんによる女性死亡者数が増えつつある。米国国立癌研究所(NCI)によれば、2015年に肺がんと診断される米国人は221,200人、死亡者数は158,040人と推定されている。NSCLCは、最もよくみられるタイプの肺がんで、その腫瘍の約10%にEGFR遺伝子の変異が認められる。
ゲフィチニブは、特定のEGFR変異を有するがん細胞の増殖を促すタンパク質を阻害するキナーゼ阻害薬であるが、最も多くみられるEGFR変異型(エクソン19欠失またはエクソン21L858R置換)の腫瘍を有するNSCLC患者の治療を適応とする。セラスクリーンEGFR・RGQ・PCRキットは、ゲフィチニブによる治療が適応となる患者を見極めるため、EGFR遺伝子変異のある腫瘍を有する患者を特定するコンパニオン診断検査として承認を得た。
「ゲフィチニブは、特定の肺がん患者に対する新たな効果的一次治療の選択肢となりました。本日の承認によって、がん治療において高度な分子標的薬がさらに加わりました」と、FDA医薬品評価センターの血液腫瘍製品室長であるRichard Pazdur医師は述べている。
FDAは、ゲフィチニブをEGFR変異陽性転移性NSCLC治療用の希少疾病用医薬品に指定した。希少疾病用医薬品の指定は、稀な疾患の治療を目的とした医薬品に与えられるが、これによって、税控除やユーザーフィー免除、市場優先権など、希少疾病用医薬品の開発を奨励するための財務的な優遇措置が得られる。
「セラスクリーンEGFR・RGQ・PCRキット承認は、医師に、ゲフィチニブが一次治療となる患者を見極めることを可能にするでしょう」と、FDA医療機器・放射線保健センターの体外診断薬・放射線保健室長を務めるAlberto Gutierrez医学博士は述べた。「コンパニオン診断を用いることで、強力な治療薬を安全かつ効果的に使用する上で必要不可欠な情報が得られます」。
ゲフィチニブの本適応における有効性および安全性は、治療歴のないEGFR変異陽性転移性NSCLC患者106人を対象とした多施設共同単一群臨床試験によって実証された。試験の主要評価項目は客観的奏効率、すなわち、治療後に腫瘍が完全消失および部分縮小した患者の割合であった。患者に対し、1日1回ゲフィチニブ250mgを投与した結果、治療後に患者の50%で腫瘍退縮が認められ、その効果は平均6カ月持続した。奏効率は、EGFR遺伝子におけるエクソン19欠失変異の患者とエクソン21L858R置換変異の患者で同様であった。
これらの結果は、別の臨床試験の後ろ向き解析によって裏づけられたが、その試験で一次治療を受けるEGFR変異陽性転移性NSCLC患者186人のサブ集団が決定された。患者はゲフィチニブ群またはカルボプラチン/パクリタキセルを最長6サイクルまで投与する群に無作為に割付けられた。このサブ集団から得られた結果から、ゲフィチニブはカルボプラチン/パクリタキセル群に比べ、無増悪生存期間を延長することが示唆された。
ゲフィチニブは間質性肺炎、肝障害、胃腸穿孔、重症の下痢および眼障害などの重篤な副作用を引き起こす可能性がある。最も頻度の高い副作用は、下痢および皮膚反応(皮疹、ざ瘡、皮膚乾燥、掻痒症あるいはかゆみなど)である。
ゲフィチニブは当初、プラチナ併用2剤療法およびドセタキセルによる治療後に増悪した進行性NSCLC患者の治療薬として、2003年に迅速承認を得た。ゲフィチニブは、その後の検証試験で臨床効果を実証できなかったことから、市場から自主回収された。今回の承認は2003年の承認時とは異なる患者集団(治療歴のないEGFR変異陽性患者)を適応としている。
米国食品医薬品局(FDA)は、連邦政府保健福祉省内に設けられた機関で、国民の健康を守るために医薬品、動物用医薬品、ワクチンおよび生物製剤や医療機器の安全性と有効性の確保に努めている。FDAは、米国の食糧供給の確保や食品安全、化粧品、健康補助食品、電磁波を放出する製品の安全性を保証し、たばこ製品を規制する責務も担っている。
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