FDAが小児と若年成人の再発/難治性未分化大細胞型リンパ腫にクリゾチニブを承認
2021年1月14日、米国食品医薬品局(FDA)は、1歳以上の小児および若年成人の再発/難治性ALK陽性全身性未分化大細胞リンパ腫(ALCL)患者に対し、クリゾチニブ(販売名:ザーコリ、Pfizer Inc.社)を承認した。成人の再発/難治性のALK陽性全身性ALCLに対するクリゾチニブの安全性と有効性は確立されていない。
有効性は多施設単一群非盲検試験であるADVL0912試験(NCT00939770)によって評価され、1歳以上21歳以下で全身治療を1回以上受けた再発/難治性のALK陽性全身性分化大細胞リンパ腫(ALCL)患者26人を対象とした。患者はクリゾチニブ280mg/m2(20人)または165mg/m2(6人)を1日に2回、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで経口投与を受けた。患者には造血幹細胞移植を受けるためのクリゾチニブ投与の中止が許可された。
有効性は独立した審査委員会が評価した奏効率(ORR)および奏効期間に基づいて評価された。患者26人のORRは88%(95%信頼区間[CI]:71~96)で、完全奏効率は81%であった。奏効を得た患者23人のうち、39%が6カ月以上、22%が12カ月以上の奏効を維持した。
眼毒性(グレード1または2の視力障害)が未分化大細胞リンパ腫(ALCL)患者の65%、胃腸毒性が92%、重篤な有害反応が35%にみられたが、その多くは好中球減少と感染症によるものであった。臨床検査値異常を除き、最もよくみられた有害反応(35%以上)は、下痢、嘔吐、悪心、視力障害、頭痛、筋骨格痛、口内炎、倦怠感、食欲減退、発熱、腹痛、咳、掻痒であった。グレード3~4の臨床検査値異常(15%以上)は、好中球減少症、リンパ球減少症、血小板減少症であった。
全身性未分化大細胞リンパ腫(ALCL)に対するクリゾチニブの推奨用量は、体表面積に基づき、1日2回、280mg/m2の経口投与である。ALCL患者にはクリゾチニブの治療前および治療中に制吐剤を投与することが推奨されている。視力障害のリスクがあるため、ベースライン時およびその後も継続的に眼科的評価を行い、視力および視覚症状の評価を毎月実施することが推奨されている。
ザーコリの全処方情報はこちらを参照。
本審査には、FDAによる評価を円滑に進めるために申請者が自発的に申請を行うAssessment Aidが使用された。本申請は、優先審査、画期的治療薬およびオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定を受けた。FDA迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」(the Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。
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