FDAが再発/難治性B細胞前駆体ALLにbrexucabtagene autoleucelを承認

2021年10月1日、米国食品医薬品局(FDA)は、再発または難治性のB細胞前駆体急性リンパ性白血病(ALL)の成人患者を対象に、brexucabtagene autoleucel(販売名:Tecartus、Kite Pharma, Inc.社)を承認した。

有効性は、再発または難治性のB細胞前駆体急性リンパ性白血病の成人患者を対象としたZUMA-3(NCT02614066)試験において評価した。本試験は、CD19指向キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法薬であるbrexucabtagene autoleucelを評価した多施設共同単群試験である。 患者はリンパ球除去化学療法を​終えた後、brexucabtagene autoleucelの単回投与を受けた。

承認の根拠となった有効性の評価項目は、投与後3カ月以内に達成した完全奏功(CR)とその持続期間であった。有効性評価対象は54人で、そのうち28人(52%、95%CI:38、66)が3カ月以内に完全奏効を達成した。効果がみられた患者の追跡調査期間の中央値は7.1カ月であり、完全奏効の持続期間の中央値には達しなかったが、半数を超える患者の完全奏効の持続期間は12カ月を超えると推定された。

Brexucabtagene autoleucelの添付文書には、サイトカイン放出症候群(CRS)および神経毒性に関する枠組み警告が記載されている。サイトカイン放出症候群は92%(グレード3以上、26%)に、神経毒性は87%(グレード3以上、35%)に発症した。臨床検査値異常を除く最も多く見られた副作用(発生率20%以上)は、発熱、サイトカイン放出症候群、低血圧、脳症、頻脈、悪心、悪寒、頭痛、疲労、発熱性好中球減少症、下痢、筋骨格系の疼痛、低酸素症、皮疹、浮腫、振戦、特定不能の病原体による感染、便秘、食欲不振、嘔吐であった。

Brexucabtagene autoleucelの推奨用量は、体重1kgあたり1×10^6個(最大1×10^8個)のCAR陽性生T細胞の単回静脈内投与で、フルダラビンとシクロホスファミドによるリンパ球除去化学療法の後に実施する。

Tecartusの全処方情報はこちらを参照。

翻訳担当者 原久美子

監修 喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)

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