FDAが白血病とリンパ腫にアスパラギナーゼエルウィニアクリサンチミーを承認

2021年6月30日、米国食品医薬品局(FDA)は、大腸菌由来のアスパラギナーゼに対する過敏症を発症した成人患者および生後1カ月以上の患児における、急性リンパ芽球性白血病(ALL)およびリンパ芽球性リンパ腫(LBL)の治療を目的とした多剤併用化学療法レジメンの1剤として、アスパラギナーゼエルウィニアクリサンチミー(遺伝子組換え)(販売名:Rylaze、Jazz Pharmaceuticals, Inc.社)を承認した。

JZP458-201試験(NCT04145531)は、非盲検マルチコホート多施設共同試験であり、多剤併用化学療法レジメンの構成成分の1つである大腸菌由来のアスパラギナーゼに過敏症を持つALL患者またはLBL患者102人を対象とし、有効性が評価された。年齢の中央値は10歳で、範囲は1歳から24歳だった。患者にはアスパラギナーゼエルウィニアクリサンチミーを様々な用量で筋肉内注射した。

主な有効性評価指標は、ナディア(最下点)での血清アスパラギナーゼ活性(NSAA)が0.1 U/mLを上回り、それを維持することだった。 モデル化とシミュレーションの結果、25mg/m2を48時間ごとに筋肉内投与した場合、アスパラギナーゼエルウィニアクリサンチミー投与後48時間にNSAA≧0.1U/mLを維持した患者の割合は93.6%(95%CI:92.6%、94.6%)であった。

主な副作用(発現率20%以上)は、肝機能検査異常、吐き気、筋骨格系の痛み、疲労感、感染症、頭痛、発熱、薬物過敏症、発熱性好中球減少症、食欲減退、口内炎、出血、高血糖だった。

長時間作用型のアスパラギナーゼ製剤から変更する場合、アスパラギナーゼエルウィニアクリサンチミー 25mg/m2を48時間ごとに筋肉内注射し、必要なアスパラギナーゼ活性を持続させることが推奨される。

Rylazeの全処方情報はこちらを参照。

翻訳担当者 白鳥理枝

監修 野﨑健司(血液・腫瘍内科/大阪大学大学院医学系研究科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

白血病に関連する記事

再発/難治性の若年性骨髄単球性白血病にトラメチニブが有望の画像

再発/難治性の若年性骨髄単球性白血病にトラメチニブが有望

MEK阻害薬トラメチニブ(販売名:​​メキニスト)は、第2相臨床試験に登録された再発または難治性の若年性骨髄単球性白血病(JMML)の小児患者に有効な治療薬であり、10人中7人が中央値...
白血病(B-ALL)に新規CAR-T細胞療法obe-celが有望:ASCOの画像

白血病(B-ALL)に新規CAR-T細胞療法obe-celが有望:ASCO

MDアンダーソンがんセンター特集:臨床試験の結果で新たな治療法が一部の患者にとって幹細胞移植や長期治療の必要性を減らす可能性を示唆アブストラクト:6504、 6507テ...
白血病(AML)の併用療法でベネトクラクス投与期間を短縮しても効果は同等:ASCOの画像

白血病(AML)の併用療法でベネトクラクス投与期間を短縮しても効果は同等:ASCO

MDアンダーソンがんセンター特集:臨床試験の結果、新たな治療法が一部の患者にとって幹細胞移植や長期治療の必要性を減らす可能性を示唆アブストラクト:6504、 6507テ...
【ASCO2024年次総会】アシミニブは新規診断白血病(CML)の治療選択肢として有望の画像

【ASCO2024年次総会】アシミニブは新規診断白血病(CML)の治療選択肢として有望

ASCOの見解(引用)「アシミニブ(販売名:セムブリックス)は、現在の標準治療である分子標的治療薬と比較して優れた有効性を示し、有害事象、投薬の中断および中止が少なく、安全性プ...