FDAが慢性リンパ性白血病 にイブルチニブ+リツキシマブを承認

2020年4月21日、米国食品医薬品局(FDA)は、慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)の成人患者の初期治療にリツキシマブとの併用療法を含めるために、イブルチニブ(販売名:IMBRUVICA、Pharmacyclics LLC社)の適応を拡大した。

本審査は、FDA Oncology Center of Excellenceが主導するプロジェクトOrbisの下で実施された。

プロジェクトOrbisは、複数の国の規制当局が、がん治療薬の申請および審査を同時に行う枠組みのことである。本申請にあたり、他の規制当局への提出時期の関係上、プロジェクトOrbisが変更された。しかしながら、FDAはオーストラリア薬品・医薬品行政局、カナダ保健省、およびスイスメディックと共同で申請を審査している。

承認は、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)または全身治療が必要な小リンパ球性リンパ腫(SLL)を有する70歳以下の成人患者529人を対象に、イブルチニブ+リツキシマブ群および比較対照群のフルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ(FCR)群を2:1の割合で無作為化した多施設共同非盲検実薬対照試験のE1912試験(NCT02048813)の結果に基づき行われた。17p欠失患者は除外した。病勢進行または許容できない毒性が認められるまで、イブルチニブ420 mgを連日投与した。

主な有効性評価項目は無増悪生存期間(PFS)とした。本試験では、フルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ(FCR)群と比較してイブルチニブ + リツキシマブ群で、統計学的に有意なPFSの改善が認められた(ハザード比[HR] 0.34;95% 信頼区間[CI]:0.22~0.52;p < 0.0001)。追跡期間中央値である37カ月の時点では、無増悪生存期間(PFS)中央値はどちらの投与群においても未達であった。

イブルチニブを投与された慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者に最もよくみられた(30%以上)副作用は、血小板減少症、下痢、疲労、筋骨格痛、好中球減少症、発疹、貧血、挫傷、悪心であった。

イブルチニブの推奨用量は420 mgを1日1回コップ1杯の水とともに経口投与する。リツキシマブの投与は2サイクル目に開始し、1日目に50 mg/㎡、2日目に325 mg/㎡、その後の5サイクルの1日目に500 mg/㎡を投与し、合計6サイクルとした。

IMBRUVICAの全処方情報はこちらを参照

FDAは本申請にReal-Time Oncology ReviewおよびAssessment Aidパイロットプログラムを採用し、本申請を優先審査に指定した。Assessment Aidは、プロジェクトOrbisに参加している規制当局間の議論を促進するために利用されている。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」に記載されている。

翻訳担当者 三宅民子

監修 野﨑健司(血液・腫瘍内科/大阪大学大学院医学系研究科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

白血病に関連する記事

骨髄性悪性腫瘍の精密医療による治療:NIH臨床試験の画像

骨髄性悪性腫瘍の精密医療による治療:NIH臨床試験

国立衛生研究所 (NIH) は、急性骨髄性白血病 (AML) および骨髄異形成症候群 (MDS) 患者の腫瘍細胞における特定の遺伝子変化を標的とした治療薬の新たな組み合わせに関して、概...
再発/難治性の若年性骨髄単球性白血病にトラメチニブが有望の画像

再発/難治性の若年性骨髄単球性白血病にトラメチニブが有望

MEK阻害薬トラメチニブ(販売名:​​メキニスト)は、第2相臨床試験に登録された再発または難治性の若年性骨髄単球性白血病(JMML)の小児患者に有効な治療薬であり、10人中7人が中央値...
白血病(B-ALL)に新規CAR-T細胞療法obe-celが有望:ASCOの画像

白血病(B-ALL)に新規CAR-T細胞療法obe-celが有望:ASCO

MDアンダーソンがんセンター特集:臨床試験の結果で新たな治療法が一部の患者にとって幹細胞移植や長期治療の必要性を減らす可能性を示唆アブストラクト:6504、 6507テ...
白血病(AML)の併用療法でベネトクラクス投与期間を短縮しても効果は同等:ASCOの画像

白血病(AML)の併用療法でベネトクラクス投与期間を短縮しても効果は同等:ASCO

MDアンダーソンがんセンター特集:臨床試験の結果、新たな治療法が一部の患者にとって幹細胞移植や長期治療の必要性を減らす可能性を示唆アブストラクト:6504、 6507テ...