FDAが有毛細胞白血病にモキセツモマブを承認
米国食品医薬品局(FDA)は2018年9月13日、プリンヌクレオシドアナログ(PNA)による治療を含む2回以上の全身療法歴のある再発または難治性の有毛細胞白血病(HCL)の成人患者を適応として、CD22を標的とした細胞毒性薬剤であるmoxetumomab pasudotox-tdfk(商品名:LUMOXITI、AstraZeneca Pharmaceuticals LP社)を承認した。
承認は、組織学的にHCLまたはHCL変異型と確認され、血球減少症または脾腫が存在するため治療の適応となり、1回のPNAを含む2回以上の全身療法歴がある患者を対象とした試験、1053(NCT01829711)に基づくものである。適格基準を満たす患者は、血清クレアチニン濃度が1.5mg/dL以下、またはCockcroft Gault式による推定でクレアチニンクリアランスが60mL/分以上であった。合計で80人の患者を試験に登録し、このうち77人がHCL患者、3人がHCL変異型患者であった。患者は、最大6サイクル、または、完全奏効(CR)、疾患進行もしくは忍容できない毒性が認められるまで、28日サイクルで1日目、3日目および5日目に0.04mg/kgのmoxetumomab pasudotox-tdfkを30分間点滴静注した。
HCLに対する有効性は、独立判定委員会(IRC)による盲検下での判定で、持続性完全奏効(CR)を評価した。これは、IRCがCRと判定してから180日間超の血液学的寛解の維持(輸血もしくは増殖因子なしでヘモグロビン11g/dL以上、好中球1,500/mm3以上、および血小板100,000/mm3以上を4週間以上維持)により確認された。IRCにより持続性CRと判定された割合は30%(80人中24人、95% CI:20~41)であった。IRCによりCRと判定された割合は41%(80人中33人、95% CI:30~53)であった。
グレードに関係なく最もよくみられた臨床検査値異常以外の有害事象(20%以上)は、注入に伴う反応、浮腫、悪心、疲労、頭痛、発熱、便秘、貧血、および下痢であった。最もよくみられたグレード3または4の有害事象(患者の5%以上で報告された有害事象)は、高血圧、発熱性好中球減少症、および溶血性尿毒症症候群(HUS)であった。Moxetumomab pasudotox-tdfk投与の永続的中止をもたらす有害事象は、患者の15%(80人中12人)に発現した。最もよくみられた投与中止に至る有害事象はHUSであった(5%)。投与延期、投与欠落、または投与中断をもたらす有害事象として最もよくみられたのは、発熱(3.8%)であった。
Moxetumomab pasudotox-tdfkの推奨用量は0.04mg/kgで、最大6サイクル、または、疾患進行もしくは忍容できない毒性の発現まで、28日サイクルの1日目、3日目および5日目に30分間の点滴静注により投与される。
Moxetumomab pasudotox-tdfk(商品名:LUMOXITI)の全処方情報はこちらを参照。
FDAは、本申請をファーストトラック、および優先審査に指定した。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、企業向けガイダンス、重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。Moxetumomab pasudotox-tdfkはHCLの治療を適応としてオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)にも指定されている。
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