イブルチニブのFDA承認
商標名:Imbruvica
・前治療のある慢性リンパ性白血病のための承認(2014/02/12)
・既存治療後のマントル細胞リンパ腫の治療薬として承認(2013/11/13)
臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報がFull prescribing information(英文)で参照できます。
前治療のある慢性リンパ性白血病のための承認
2014年2月12日、米国食品医薬品局は、前治療を少なくとも一度は受けた慢性リンパ球性白血病(CLL)の患者の治療のために、イブルチニブ( IMBRUVICA, Pharmacyclics, Inc社)の迅速承認を行いました。
イブルチニブは、2013年11月13日に前治療を少なくとも一度は受けたマントル細胞リンパ腫の患者の治療のためにすでに迅速承認を受けていました
CLLにおける承認は、前治療のあるCLLの患者48人の多施設単一群試験の結果に基づいていました。患者の平均年齢は67歳(範囲 は37から82歳まで)であり、 71%が男性でした。すべての患者は、ベースライン(治療前)のECOGパフォーマンスステータスが0または1でした。診断からの期間の中央値は6.7年で、前治療数の中央値は4 (範囲は 1から12までの処置数)でした。イブルチニブは、疾患の進行又は許容できない毒性が生じるまで、1日1回420mg経口投与されました。
有効性の結果は、独立した審査委員会によって評価され、58.3%の全奏効率(95%Cl:43.2から72.4まで)を示しました。完全奏効は認められませんでした。奏効期間は5.6カ月から24.2カ月以上までの範囲で、中央値には達しませんでした。
前治療CLL患者のためのイブルチニブの安全性プロフィールは、マントル細胞リンパ腫の臨床試験での観察と一致していました。CLLの臨床試験で報告された最も一般的な(患者の少なくとも20%で発生する)副作用は、血小板減少、下痢、あざ、好中球減少、貧血、上気道感染症、疲労、筋骨格痛、発疹、発熱、便秘、末梢浮腫、関節痛、吐き気、口内炎、副鼻腔炎、めまいでした。
この迅速承認の条件として、 FDAは製薬会社に無作為化臨床試験(群)の結果を提出するよう求めました。 2014年1月、 Pharmacyclics社は、計画された中間解析の良好な結果に基づいて、データモニタリング委員会によるRESONATE試験の早期停止をFDAに通知しました。RESONATE第3相臨床試験は、プリン類似体に基づく治療を行う対象とは考えられていなかった前治療のあるCLLまたは小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者をイブルチニブまたはofatumumabのいずれかに無作為に割り当てました。
本試験は無増悪生存期間および全生存期間の改善を実証するために報告されました。
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伊藤実花訳
林正樹(血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院)監修
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既存治療後のマントル細胞リンパ腫の治療薬として承認
2013年11月13日、米国食品医薬品局(FDA)は、これまでに1つ以上の治療を受けたマントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma、MCL)患者の治療薬として、イブルチニブ(商標名Imbruvica、Pharmacyclics社製)に迅速承認を与えました。
この承認は、以前に治療経験があるマントル細胞リンパ腫患者111人を登録した多施設、国際共同単群試験の結果に基づくものです。主要エンドポイントは全奏効率(ORR)でした。
有効性の結果から66%のORRが確認され(95 percent CI 56.2, 74.5)、17%の患者が完全奏効、49%の患者が部分奏効を達成しました。奏効期間の中央値は17.5カ月でした(95 percent CI 15.8, not reached)。
以前にMCLの治療経験があり、イブルチニブ1日560mgの投与を受けた111人の患者において、安全性が評価されました。臨床試験において報告された副作用で最も多かったもの(20%以上の患者で発生)は血小板減少症、下痢、好中球減少症、貧血、疲労、筋骨格痛、末梢浮腫、上気道感染、悪心、皮下出血、呼吸困難、便秘、発疹、腹痛、嘔吐および食欲減退でした。
5%の患者にグレード3以上の出血イベント(硬膜下血腫、消化管出血、血尿)がみられました。全てのグレードを含む挫傷などの出血イベントは48%の患者で生じました。治療下で発現したグレード3または4の血球減少は41%の患者でみられました。25%の患者にグレード3以上の感染症がみられました。
この迅速承認の条件として、単群試験におけるすべての患者の24カ月追跡データの提出および、新たにMCLと診断された患者において、ベンダムスチンとリツキシマブ、イブルチニブの3剤併用とベンダムスチンとリツキシマブの2剤併用を比べるランダム化比較試験の結果の提出をFDAはスポンサーに要求しています。
イブルチニブの推奨される用量、用法は1日1回560mg(140mgカプセル4つ)の経口投与になります。
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下野龍太郎訳
吉原哲(血液内科/コロンビア大学CCTI)監修
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この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。 |
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