FDAが稀な種類の白血病の治療にMarqiboを承認/FDAニュース

FOR IMMEDIATE RELEASE:2012年8月9日
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FDAが稀な種類の白血病の治療にMarqiboを承認

当局の迅速承認制度の下、承認されたオーファンドラッグ

米国食品医薬品局(FDA)は本日、フィラデルフィア染色体陰性(Ph-)急性リンパ性白血病(ALL)と呼ばれる稀な種類の白血病の成人患者を適用として、Marqibo(硫酸ビンクリスチンリポソーム注射剤)を承認した。

ALLは急速に進行する血液や骨髄の癌の一種であり、成人より小児で診断されることが多い。米国国立癌研究所によると、今年、およそ6,050人の男女がALLだと診断され、1,440人はALLが原因で死亡するとされている。

Marqiboは白血病が2回以上再発した患者、あるいは2つ以上の抗白血病治療を受けた後に白血病が進行した患者を適用として承認された。Marqiboは細胞膜成分と同様の物質からなる薬物輸送媒体であるリポソームに封入された、一般的に使用される抗癌剤のビンクリスチンを含んでいる。本薬剤は医療従事者により週一回投与される注射剤である。

「Marqiboの承認は深刻なアンメットメディカルニーズに応える薬剤の開発、承認に対するFDAのコミットメントを示しています」とFDAの医薬品評価研究センター、血液腫瘍製品室室長であるRichard Pazdur医師は述べた。「Marqiboは利用可能な治療が有効性を示さないフィラデルフィア染色体陰性急性リンパ性白血病患者に対するさらなる治療選択肢となります」。

MarqiboはFDAの迅速承認制度の下で承認されている。迅速承認制度により、患者の臨床上のベネフィットを合理的に予測できる代用エンドポイントに対し、薬剤が効果を有することを示す臨床データに基づいた重篤な疾患に対する治療薬剤の承認が可能になる。本制度により、製薬企業が薬剤の臨床上の有益性と安全な使用を確認するための追加の臨床試験を行う間に、有効性が期待できる新規薬剤を患者により早く提供できる。Marqiboは希少疾病、状態の治療が目的であるので、FDAからオーファンドラッグ指定も受けた。

本薬剤の有効性は、標準治療を受けたにもかかわらず少なくとも2回白血病が再発し、最低1回は以前の治療に90日間以上奏効を示した成人患者を対象とした単一の臨床試験により評価された。本臨床試験の目的は、完全寛解(complete remission:CR)あるいは血液の回復不完全を伴う完全寛解(complete remission with incomplete blood count recovery:CRi)を指標とした、Marqiboに対する奏効率を調べることである。65人の登録患者の内、15.4%にあたる10人はCRまたはCRiを伴う奏効を示した。CRまたはCRiを達成した10人の患者において、確認された寛解期間の中央値は28日であった。再発、死亡、次の治療などのイベントが最初に起こるまでの時間の中央値は56日であった。

Marqiboの安全性は、臨床治療を受けた83人の患者からなる2つの単一投与群試験において評価した。発熱を伴う白血球数減少、低血圧、呼吸困難、心停止などの重篤な有害事象は患者の76%で生じた。臨床試験中に最もよくみられた副作用は便秘、悪心、低血球数、発熱、神経障害、疲労、下痢、食欲不振、不眠などがある。

Marqiboの添付文書には、本薬剤は静脈内注射で投与する必要があり、もし脊髄液中への投与などの他の方法で投与した場合、患者が死に至る危険があることを患者や医療従事者に警告する枠組み警告欄を設ける予定である。この枠組み警告欄には、Marqiboは硫酸ビンクリスチン注射単独とは異なる用量を推奨していることも記載する。過剰投与を避けるため、医療従事者が投与前に薬剤名と投与量を確認することが重要である。薬剤調製のために特別に必要とすることは添付文書に記載されている。

Marqiboはカリフォルニア州、サンフランシスコに本拠地を置くTalon Therapeutics社により販売されている。

詳しい情報については以下を参照のこと:

FDA: Office of Hematology and Oncology Products(血液腫瘍製品室)〔原文〕

FDA: Approved Drugs: Questions and Answers (承認薬:質問と回答)〔原文〕

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下野龍太郎 訳
吉原 哲 (血液内科・造血幹細胞移植/兵庫医科大学病院) 監修 
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原文

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