Doxorubicin Hydrochloride LiposomeのFDA承認
商品名: Doxil[ドキシル]
臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報Full prescribing information (原文)が参照できます。
本剤以外の化学療法後の卵巣癌およびカポジ肉腫
2013年2月4日、米国食品医薬品局(FDA)は、ドキシル(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射剤、Janssen Products, LP社製)のジェネリック版 であるリポドックス(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射剤、Sun Pharma Global FZE社製)に、白金製剤を中心とした化学療法後に進行した卵巣癌または再発卵巣癌、および従前の全身化学療法が不応/不耐となったエイズ関連カポジ肉腫の適応を承認しました。
Janssen社製ドキシルは、現在、FDAの不足薬剤リストに挙げられています。FDAのジェネリック医薬品部は、不足薬剤リストに挙げられている医薬品の不足緩和策として、ジェネリック医薬品の承認申請を迅速に処理する優先審査制度を採用しています。製造上の問題により、ドキシルは供給不足となっています。
2012年2月、ドキシルの供給不足に対処するため、FDAはSun社製ドキシルの代替薬であるリポドックスの一時輸入ならびに当時米国では販売許可が下りていなかったリポドックスの正規販売業者Caraco Pharmaceutical Laboratories Ltd.への販売許可に対する自由裁量権を行使すると発表しました。また、未承認の製造工程で製造されたJanssen社製ドキシルの1ロット出荷の際にも、自由裁量権が行使されました。
現時点では、FDAはリポドックスの輸入に対する自由裁量権の行使を継続する意向で、限定的供給ですがドキシルも入手可能です。Sun社製リポドックスが予測需要量を十分に満たし次第、FDAは全ての未承認ドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射剤に対する自由裁量権の行使を止める予定です。
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並木 恵 翻訳
関屋 昇(薬学博士)監修
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多発性骨髄腫
米食品医薬品局(FDA)は、2007年5月17日にリポゾーム化塩酸ドキソルビシン注射(Alza社のドキシルR)を、ボルテゾミブ投与を受けたことがなく過去に1回以上治療を受けたことのある多発性骨髄腫症患者に対して、ボルテゾミブとの併用療法に使用することを承認しました。
効果および安全性は、過去にボルテゾミブ投与を受けたことがなく1回以上治療を受けたことのある多発性骨髄腫患者を対象とした、リポゾーム化塩酸ドキソルビシンとボルテゾミブの併用療法とボルテゾミブ単独療法を比較したランダム化・多施設共同・国際臨床試験において証明されました。
両方の治療群においてボルテゾミブ1.3mg/m2を1日目、4日目、8日目および11日目に投与した後、リポゾーム化塩酸ドキソルビシン30mg/m2を4日目に1時間の静脈投与を行いこれを21日毎に行いました。無作為化された患者646例からのデータを評価しました。
主要エンドポイントの無増悪期間(TTP、無作為化から症状の進行又は進行による死亡までの期間と定義される)は、事前に明記された中間分析において評価しました。TTPの中央値は、ボルテゾミブ単独投与では6.5ヶ月であったのに対し、併用投与群では9.3ヶ月でした(HR=0.55; 95% CI [0.43, 0.71]; p < 0.0001)。生存に関するデータを出すのはこの時点ではまだ早いとみられます。
安全性に関するデータの評価を患者636例(各群318例)から行いました10%以上の患者で報告されたグレード3又は4の副反応のうち、リポゾーム化塩酸ドキソルビシンとボルテゾミブの併用治療を受けた患者の方が多かったものは、好中球減少と血小板減少でした。さらに、併用治療群で報告頻度がより多かった全グレードの副反応は、貧血、疲労、発熱、嘔気、嘔吐、下痢、粘膜炎・口内炎および手足症候群でした。
心不全の発生率は2群間で類似していました(各群共に3%)。左室駆出分画率の減少が併用治療群の患者の13%、ボルテゾミブ単独治療群の患者の8%に見られました。
リポゾーム化塩酸ドキソルビシンの初期投与量は、注入反応のリスクを最小限にするため1mg/分から始めなければなりません。
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エリザベス 翻訳
林 正樹(血液/腫瘍内科医、社会医療法人敬愛会中頭病院 血液・腫瘍科部長)監修
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この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。 FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。 |
原文掲載日
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