FDAが非転移性、去勢抵抗性前立腺がんにダロルタミドを承認

2019年7月30日、米国食品医薬品局(FDA)は、非転移性去勢抵抗性前立腺がんに対して、ダロルタミド(販売名:NUBEQA、Bayer HealthCare Pharmaceuticals Inc.社)を承認した。

本承認は、非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者1,509人を対象に行われた、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照試験のARAMIS試験(NCT02200614)に基づいている。同試験では患者を、ダロルタミド600 mgを1日2回経口投与する群(955人)または相当量のプラセボを投与する群(554人)のいずれかに、2:1の割合で割り付けた。すでに両側精巣摘出術を受けている患者を除き、すべての患者に性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アナログを併用した。痙攣発作歴のある患者12人はダロルタミド群に割り付けた。

主要評価項目は、無転移生存期間(MFS)、すなわち無作為割付けから、最初の遠隔転移またはすべての死因による死亡(最終の画像診断から33週以内)のいずれか早い方までの時間とした。MFSの中央値は、ダロルタミド群で40.4カ月(95%信頼区間[CI]:34.3~未達)であったのに対し、プラセボ群では18.4カ月(95%CI:15.5~22.3)であった(ハザード比[HR]0.41、95%CI:0.34~0.50、p<0.0001)。全生存期間に関するデータは確定していない。

ダロルタミド群で多くみられた(患者の2%以上で認められた)副作用は、疲労、四肢痛および発疹であった。虚血性心疾患(4.3%)および心不全(2.1%)はプラセボ群よりダロルタミド群で多く認められた。痙攣発作の発現率については両群で同程度であった(0.2%)。

ダロルタミドの推奨用量は600 mg(300 mg錠を2錠)の1日2回経口投与(食後)である。両側精巣摘出術を受けていない患者は性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アナログを併用すること。

NUBEQAの全処方情報はこちらを参照。

FDAは本剤をファーストトラック指定とし、本剤の申請を優先審査に指定した。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム−医薬品およびバイオ医薬品(Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)」に記載されている。

翻訳担当者 瀧井希純

監修 橋本 仁(獣医学)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

前立腺がんに関連する記事

前立腺がんにおけるテストステロンの逆説的効果を解明の画像

前立腺がんにおけるテストステロンの逆説的効果を解明

デューク大学医学部デューク大学医療センター最近、前立腺がんの治療において矛盾した事実が明らかになった: テストステロンの産生を阻害することで、病気の初期段階では腫瘍の成長が止ま...
一部の生化学的再発前立腺がんに、精密医薬品オラパリブがホルモン療法なしで有効な可能性の画像

一部の生化学的再発前立腺がんに、精密医薬品オラパリブがホルモン療法なしで有効な可能性

ジョンズホプキンス大学抗がん剤オラパリブ(販売名:リムパーザ)は、BRCA2などの遺伝子に変異を有する患者に対し、男性ホルモン療法を併用せずに、生化学的再発をきたした前立腺がんの治療に...
転移性前立腺がん試験、アンドロゲン受容体経路阻害薬の変更よりも放射性リガンド療法を支持の画像

転移性前立腺がん試験、アンドロゲン受容体経路阻害薬の変更よりも放射性リガンド療法を支持

第3相PSMAforeの追跡研究研究概要表題タキサン未投与の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者における[177Lu]Lu-PSMA-617の有効性とARPI変更との比較:ラ...
転移性前立腺がんに生物学的製剤SV-102とデバイスの併用免疫療法SYNC-Tは有望の画像

転移性前立腺がんに生物学的製剤SV-102とデバイスの併用免疫療法SYNC-Tは有望

低温プローブを用いる治験的治療では、前立腺がん細胞の一部を死滅させ、腫瘍特異的ネオアンチゲン(※がん細胞特有の遺伝子変異などによって新たに生じた抗原)を放出させ免疫反応を促進する。...