FDAが末期前立腺癌にZytigaを承認

FOR IMMEDIATE RELEASE:2011年4月28日
Media Inquiries: Erica Jefferson, 301-796-4988
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

FDAが末期前立腺癌にZytigaを承認

米国食品医薬品局(FDA)は本日、前治療としてドセタキセル治療(化学療法)を受けた末期(転移性)去勢抵抗性前立腺癌患者の治療薬として、プレドニゾン(ステロイド剤)と併用するZytiga(abiraterone acetate〔酢酸アビラテロン〕)を承認した。

前立腺癌では、男性ホルモンのテストステロンが前立腺腫瘍の増殖を促す。テストステロン産生の抑制あるいはテストステロンの作用を遮断するために薬剤の使用や手術が行われている。しかし、前立腺癌はテストステロン値が少ない場合でも増殖し続けることがある。このような癌を有する男性は、去勢抵抗性前立腺癌を有するといわれる。

Zytigaは、テストステロン産生に重要な役割を果たすチトクロムP450 17A1 (CYP17A1) と呼ばれるタンパク質を標的にする錠剤である。本剤は、癌細胞の継続的な増殖を促すこのホルモンの産生を抑制することにより作用する。

本剤の承認申請はFDAの優先審査プログラムに基づいて審査された。同プログラムでは、治療に大きな進歩を与えるかまたは適切な治療が存在しない場合の治療薬となりうる薬剤を対象に、6カ月間の迅速審査が実施される。Zytigaは、規制上の承認目標日である2011年6月20日に先立って承認された。

「Zytigaは、前治療を受け、治療選択肢がほとんどない末期前立腺癌患者の生存期間を延ばした」とFDA医薬品評価研究センター抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師は述べた。

Zytigaの安全性と有効性は、前治療としてドセタキセルによる化学療法を受けた末期去勢抵抗性前立腺癌患者1, 195人を対象とした臨床試験により立証された。患者は、プレドニゾンを1日2回と併用してZytigaを1日1回投与する群、あるいはプレドニゾンと併用してプラセボ(糖錠)を1日2回投与する群に分けられた。

試験の目的は、治療開始から患者の死亡までの期間である全生存期間を測定することであった。Zytigaとプレドニゾンの併用治療を受けた患者の全生存期間中央値は14.8カ月であったのに対し、プラセボとプレドニゾンの併用治療を受けた患者の場合は10.9カ月であった。

Zytiga治療を受けた患者において最も頻度の高い副作用は、関節腫脹または関節の不快感、血液中のカリウム濃度低下、体液貯留(多くの場合、下肢)、筋肉の不快感、ほてり、下痢、尿路感染、咳嗽、高血圧、心拍変動、頻尿、夜間頻尿、胃のむかつきまたは消化不良、および上部呼吸器感染症であった。

Zytigaは、ペンシルベニア州Horshamに拠点を置くCentocor Ortho Biotech, Inc.社が販売している。

******
栃木 和美 訳
榎本 裕(泌尿器科/東京大学医学部付属病院)監修 
******

原文

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

前立腺がんに関連する記事

前立腺がんにおけるテストステロンの逆説的効果を解明の画像

前立腺がんにおけるテストステロンの逆説的効果を解明

デューク大学医学部デューク大学医療センター最近、前立腺がんの治療において矛盾した事実が明らかになった: テストステロンの産生を阻害することで、病気の初期段階では腫瘍の成長が止ま...
一部の生化学的再発前立腺がんに、精密医薬品オラパリブがホルモン療法なしで有効な可能性の画像

一部の生化学的再発前立腺がんに、精密医薬品オラパリブがホルモン療法なしで有効な可能性

ジョンズホプキンス大学抗がん剤オラパリブ(販売名:リムパーザ)は、BRCA2などの遺伝子に変異を有する患者に対し、男性ホルモン療法を併用せずに、生化学的再発をきたした前立腺がんの治療に...
転移性前立腺がん試験、アンドロゲン受容体経路阻害薬の変更よりも放射性リガンド療法を支持の画像

転移性前立腺がん試験、アンドロゲン受容体経路阻害薬の変更よりも放射性リガンド療法を支持

第3相PSMAforeの追跡研究研究概要表題タキサン未投与の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者における[177Lu]Lu-PSMA-617の有効性とARPI変更との比較:ラ...
転移性前立腺がんに生物学的製剤SV-102とデバイスの併用免疫療法SYNC-Tは有望の画像

転移性前立腺がんに生物学的製剤SV-102とデバイスの併用免疫療法SYNC-Tは有望

低温プローブを用いる治験的治療では、前立腺がん細胞の一部を死滅させ、腫瘍特異的ネオアンチゲン(※がん細胞特有の遺伝子変異などによって新たに生じた抗原)を放出させ免疫反応を促進する。...