塩化ラジウム233のFDA承認
商標名:Xofigo
・骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌に対する治療として認可(2013/05/15)
臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報がFull prescribing information(英文)で参照できます。
2013年5月15日、米国食品医薬品局(FDA)は去勢抵抗性前立腺癌で、症候性骨転移があり、内臓転移のない患者に対する治療として、塩化ラジウム233(Bayer HealthCare Pharmaceuticals Inc.社製のXofigo注射)を承認しました。
ラジウム223 二塩化物としても知られる塩化ラジウム233は、骨転移などの骨代謝回転が増加した箇所で、カルシウムを模倣しハイドロキシアパタイトと複合体を形成する、α粒子放射型の放射線治療薬です。
この承認は、症候性骨転移があり内臓転移のない転移性去勢抵抗性前立腺癌患者に対する二重盲検ランダム化プラセボ対照試験に基づいています。患者は最善の標準治療と塩化ラジウム233、50 kBq/kg(1.35マイクロキュリー/kg)の静注投与を、4週間を1サイクルとして6サイクル併用される群(N=541)と、プラセボと最善の標準治療の併用群(N=268)にランダムに割り付けられました(2:1)。最善の標準治療には局所放射線治療、コルチコステロイド、抗アンドロゲン薬、エストロゲン、エストラムスチン、あるいはケトコナゾールが含まれます。全患者はアンドロゲン遮断療法を継続されることとされました。患者の年齢中央値は71歳で94%が白人でした。また86%がECOGのPSで0−1、58%がドセタキセルの化学療法を治療前に受けていました。54%の患者が麻薬性鎮痛剤を、44%の患者が非麻薬性鎮痛剤をそれぞれ使用していました。全生存期間が主要エンドポイントでした。
事前に規定された暫定的中間解析では全生存期間の統計的有意な改善が見られました(ハザード比0.70; 95% 信頼区間0.55, 0.88; p=0.00185)。塩化ラジウム233群の全生存期間中央値は14カ月で、プラセボ群では11.2カ月でした。全生存期間の改善は塩化ラジウム233群の患者において、有症状の骨関連事象が初めて生じるまでの期間の延長によって支持されます。
塩化ラジウム233群の患者に起こった最も頻度の高い(少なくとも10%)有害事象は嘔気、下痢、嘔吐、および末梢浮腫でした。最も頻度の高い(少なくとも10%)の血液学的臨床検査値異常は貧血、リンパ球減少症、白血球減少、血小板減少症、好中球減少でした。塩化ラジウム233群の患者の2%に骨髄機能不全もしくは継続的な汎血球減少症が起こり、プラセボを投与された患者には骨髄機能不全や汎血球減少症の発現は見られませんでした。
塩化ラジウム233の推奨される投与量とスケジュールは、50 kBq/kg(1.35マイクロキュリー/kg)の1分間での緩徐な静注を4週おきに6回行うものです。
この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。 |
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
前立腺がんに関連する記事
前立腺がんにおけるテストステロンの逆説的効果を解明
2024年11月20日
一部の生化学的再発前立腺がんに、精密医薬品オラパリブがホルモン療法なしで有効な可能性
2024年9月18日
転移性前立腺がん試験、アンドロゲン受容体経路阻害薬の変更よりも放射性リガンド療法を支持
2024年5月17日
転移性前立腺がんに生物学的製剤SV-102とデバイスの併用免疫療法SYNC-Tは有望
2024年4月30日