FDAがVHL病に伴う腎細胞がん、神経血管芽腫、膵神経内分泌腫瘍にHIF阻害薬belzutifanを承認
2021年8月13日、米国食品医薬品局(FDA)は、フォンヒッペル・リンドウ病(VHL: von Hippel-Lindau)病に伴う治療が必要で即時の手術を必要としない腎細胞がん(RCC)、中枢神経系(CNS)血管芽細胞腫、膵神経内分泌腫瘍(pNET)の成人患者を対象に、低酸素誘導因子(HIF)阻害薬であるbelzutifan(販売名:Welireg、Merck社)を承認した。
Belzutifanは、現在進行中の004試験(NCT03401788)において検討された。この試験は、VHL遺伝子の生殖細胞系列の変異に基づいて診断され、腎臓に局在する測定可能な固形腫瘍を1つ以上有するVHL関連RCC(VHL-RCC)患者61人を対象とした非盲検試験である。登録された患者は、中枢神経系血管芽細胞腫や膵神経内分泌腫瘍など、他のVHL関連腫瘍を有していた。患者は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、belzutifan120 mgを1日1回投与された。
有効性主要評価項目は、独立審査委員会がRECIST 1.1に基づいて画像診断評価した全奏効率(ORR)であった。有効性副次評価項目は、奏効期間(DoR)および奏効までの期間(TTR)であった。VHL関連RCC患者のORRは49%(95%信頼区間[CI]:36~62)であった。奏効したすべてのVHL-RCC患者に対し、治療開始から18カ月以上追跡調査を行った。DoRの中央値には到達しなかったが、奏効した患者の56%においてDoRが12カ月以上、TTRの中央値が8ヵ月であった。VHL関連でRCC以外の腫瘍を有する患者においては、測定可能な中枢神経系血管芽細胞腫を有する患者24人のORRは63%、測定可能な膵神経内分泌腫瘍を有する患者12人のORRは83%であった。DoRの中央値には到達しなかったが、中枢神経系血管芽細胞腫および膵神経内分泌腫瘍に対し、それぞれ73%および50%の患者に12カ月以上の奏効期間が得られた。
Belzutifanを投与された患者の20%以上に最もよくみられた副作用(臨床検査値の異常を含む)は、ヘモグロビン減少、貧血、疲労、クレアチニン増加、頭痛、めまい、グルコース増加、および悪心であった。belzutifanの使用による貧血や低酸素症は重症になる可能性がある。004試験では患者の90%に貧血が認められ、7%はグレード3の貧血であった。そのため、患者には必要に応じて輸血を行うべきである。belzutifanの投与中の患者に対する貧血治療として、赤血球造血刺激因子(ESA)製剤は推奨されない。 004試験では患者の1.6%に低酸素症が認められている。belzutifanにより一部のホルモン避妊薬の薬効が低下することがあり、また、妊娠中はbelzutifanの曝露により胚・胎児に悪影響が生じる可能性がある。
Belzutifanの推奨用量は120mgであり、食事の有無にかかわらず1日1回経口投与する。
Weliregの全処方情報はこちらを参照。
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