FDAが腎細胞がんの術後化学療法にスニチニブを承認

2017年11月16日、米国食品医薬品局(FDA)は、腎摘除後の再発リスクが高い腎細胞がん(RCC)成人患者の術後化学療法にスニチニブ(商品名:スーテント)(Pfizer Inc.社)を承認した。

本承認は、多施設共同国際二重盲検プラセボ対照試験(S-TRAC試験)に基づく。この試験は腎摘除術後の再発リスクが高い腎細胞がん患者615人が対象となった。患者はスニチニブ群(50mgを1日1回4週間投与後2週間休薬)またはプラセボ群のいずれかに1:1の割合で無作為に割り付けられた。無病生存期間(DFS)中央値は、スニチニブ群で6.8年(95%CI:5.8, 未達)であり、これに対しプラセボ群では5.6年(95%CI:3.8, 6.6)であった(HR=0.76;95%CI:0.59, 0.98;p=0.03)。全生存データは、無病生存解析時点では確定していなかった。

スニチニブ群で最も多く認められた有害反応(25%以上)は、倦怠感/無力症、下痢、粘膜炎/口内炎、悪心、食欲低下/食欲不振、嘔吐、腹痛、手足症候群、高血圧、出血事象、味覚異常/味覚変化、消化不良および血小板減少症であった。添付文書では、医療従事者および患者への枠組み警告文として、肝毒性のリスク(肝不全や死亡に至る可能性がある)に関する注意喚起がされている。

腎細胞がんの術後化学療法におけるスニチニブの推奨用量は50mg、食事摂取の有無に関係なく1日1回経口投与、4週間投与後2週間休薬の計6週間を9回である。

全処方情報はこちら:https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2017/021938s033lbl.pdf  

医療従事者は、医薬品および医療機器の使用との関連が疑われる重篤な有害事象を認めた場合、すべてFDAのMedWatch報告システムに報告しなければならない。

翻訳担当者 竹原順子

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

腎臓がんに関連する記事

進行腎がんに対するベルズチファンの承認を支持する極めて重要な試験結果の画像

進行腎がんに対するベルズチファンの承認を支持する極めて重要な試験結果

研究タイトル進行腎細胞がんに対するベルズチファンとエベロリムスの比較掲載紙New England Journal of Medicine誌 2024年8月22日...
進行腎がんに免疫チェックポイント療法の反復は推奨されないの画像

進行腎がんに免疫チェックポイント療法の反復は推奨されない

研究概要研究タイトル免疫チェックポイント阻害薬投与後の腎細胞がん患者におけるチボザニブ+ニボルマブ併用療法とチボザニブ単剤療法の比較-第3相TiNivo-2試験の結果 ...
腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性の画像

腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性

腎臓がんのゲノム研究により、世界各地における腎臓がんの原因について新たな手がかりが得られた。

腎臓がんは、一部の国々では他国よりも多い。しかし、この地理的な違いは、タバコ喫煙、高血圧、肥...
腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらすの画像

腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらす

免疫療法薬ペムブロリズマブ(キイトルーダ)は瞬く間に、最も広く使用されているがん治療薬のひとつとなった。大規模臨床試験の最新結果によると、同薬剤は今度は、腎臓がん、特に腎臓がんで最も多...