Axitinib[アキシチニブ]のFDA承認

商品名:Inlyta

・化学療法歴のある進行腎細胞癌の適応で承認

本剤の臨床試験情報、安全性、投与法、薬物間相互作用および禁忌などの全処方情報(原文)が参照できます。

2012年1月27日、米国食品医薬品局(FDA)は、過去に一度、化学療法で奏効しなかった進行性腎細胞癌患者の治療にアキシチニブ(Axitinib)の錠剤(Inlyta、Pfizer社)を承認しました。

承認は、過去の化学療法で奏効のみられなかった進行性腎細胞癌患者を対象にした、国際ランダム化非盲検臨床試験に基づいています。有効性の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)でした。

本試験では、723人の患者が登録され、そのうち、361人がアキシチニブ5mgを1日2回経口投与する群に割り付けられ、362人がソラフェニブ(sorafenib)400mgを1日2回経口投与する群に割り付けられました。治療は、疾患の進行、許容できないほどの毒性の出現、または同意の撤回の場合を除き継続されました。すべての登録患者は、ECOGのPSが0または1で、過去に、次の治療、スニチニブ(sunitinib)、テムシロリムス(temsirolimus)、ベバシズマブ(bevacizumab)またはサイトカイン(cytokine)のいずれかの投与を受けていました。試験には管理されていない高血圧の患者は除外されました。

無増悪生存期間の解析では、ソラフェニブを投与している患者と比較して、アキシチニブを投与している患者では、無増悪生存期間において統計学的に有意な延長が示されました(ハザード比HR = 0.67、95%信頼区間CI:0.54~0.81、P <0.0001、ログランク検定)。ソラフェニブを投与した患者の無増悪生存期間中央値が4.7ヵ月(95%信頼区間: 4.6~5.6ヵ月)であったのと比較して、アキシチニブを投与している患者の無増悪生存期間中央値は6.7ヵ月(95%信頼区間:6.3~8.6ヵ月)でした。 この無増悪生存期間の延長は、スニチニブ前処理群と比較して、サイトカイン前処理群でより優れていました。

アキシチニブ投与患者において最も多く(20%以上)みられた副作用は、下痢、高血圧、疲労、食欲不振、悪心、発声障害、手掌·足底紅斑(手足症候群)、体重減少、嘔吐、無力症、および便秘でした。アキシチニブ投与患者で報告された、そのほかの重度の副作用は、高血圧性クリーゼ、動脈および静脈血栓症、出血、消化管穿孔や瘻孔形成、可逆的な後部白質脳症症候群でした。

アキシチニブの推奨用法・用量は、食事にかかわらず約12時間の間隔をあけた、5mg1日2回の経口投与です。

この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

*

翻訳担当者 伊藤実花

監修 辻村 信一 (獣医学/農学博士、メディカルライター)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

腎臓がんに関連する記事

腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性の画像

腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性

腎臓がんのゲノム研究により、世界各地における腎臓がんの原因について新たな手がかりが得られた。

腎臓がんは、一部の国々では他国よりも多い。しかし、この地理的な違いは、タバコ喫煙、高血圧、肥...
腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらすの画像

腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらす

免疫療法薬ペムブロリズマブ(キイトルーダ)は瞬く間に、最も広く使用されているがん治療薬のひとつとなった。大規模臨床試験の最新結果によると、同薬剤は今度は、腎臓がん、特に腎臓がんで最も多...
腎臓がんリスクに関連する50のゲノム領域を新たに同定の画像

腎臓がんリスクに関連する50のゲノム領域を新たに同定

概要腎臓がんの遺伝的感受性に関する新たな解析において、国際研究チームが、腎臓がんの発症リスクに関連する50の新たなゲノム領域を特定した。これらの知見は、腎臓がんの分子的基盤の理...
腎がんを皮下注射型ニボルマブで治療、点滴より簡便になる可能性の画像

腎がんを皮下注射型ニボルマブで治療、点滴より簡便になる可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ進行した腎がんの患者にとって、皮下注射投与型ニボルマブ(販売名:オプジーボ)は、本来の静脈内投与の適切な代替方法であることが、臨床試験の初期...