初のLAG-3標的免疫療法薬OpdualagのFDA承認
米国食品医薬品局(FDA)は、進行メラノーマ(悪性黒色腫)の治療として免疫療法薬2種の配合剤を承認した。本剤はレラトリマブとニボルマブ(販売名:オプジーボ)の配合剤であり、Opdualagの製品名で発売される。
2剤とも免疫チェックポイント阻害薬であり、免疫システムががん細胞に強力な免疫応答を仕掛けられないよう停止させるチェックポイントと呼ばれるタンパク質を標的としている。レラトリマブは、LAG-3と呼ばれる免疫細胞上のタンパク質を阻害し、ニボルマブはPD-1と呼ばれる免疫細胞上の別のタンパク質を阻害する。これらのタンパク質を阻害することで、本2剤はがん細胞に対し免疫応答を開放することができる。
レラトニマブは、FDAが初めて承認したLAG-3活性化阻害薬である。
FDAが承認した他の免疫チェックポイント阻害薬の配合剤と異なり、Opdualagでは両剤を点滴静注する。
FDAは、切除不能または体内に広がっている(転移した)メラノーマの治療歴のない12歳以上の患者を対象に、ニボルマブとレラトリマブの配合剤を承認した。
この承認は、大規模な臨床試験RELATIVITY-047の結果に基づくものであった。本試験では、ニボルマブ+レラトリマブ併用療法をニボルマブ単剤療法と比較した。ニボルマブ単剤療法は、切除不能または転移性メラノーマと診断された患者への標準治療である。
ニボルマブとレラトリマブのメーカーであるBristol Myers Squibb社が本臨床試験に資金提供した。研究者らは、メラノーマの悪化またはあらゆる原因による死亡(いずれか先に発生した方)がなく患者が生存した期間を測定した(無増悪生存期間)。
追跡期間中央値は13.2カ月であり、ニボルマブ+レラトリマブ併用療法群は、ニボルマブ単剤療法群と比較して無増悪生存期間が長かった(10.1カ月 vs. 4.6カ月)。
ニボルマブ+レラトリマブ併用群で最も多かった副作用は疲労、発疹、掻痒(かゆみ)または関節痛、下痢であった。本群のうち副作用で治療を中止した患者は14.6%であったのに対し、ニボルマブ単剤療法群では6.7%であった。
NCIのがん治療評価プログラムで、研究には従事しなかったものの免疫療法に関する臨床試験の主導を支援したElad Sharon医師は「本試験の結果は非常に印象的です」と述べると同時に、「新規の配合剤が他の治療に比べどのくらい生存期間(全生存期間)を延長するかを示すためには、より長期的な観察が必要です」とも警告した。
免疫チェックポイント阻害薬の増加
多発性骨髄腫、食道がんまたは胃がん、脊索腫、その他のがん種の治療についても、LAG-3を標的とする薬剤の評価が行われている。Opdualagも、肺がん、大腸がん、肝臓がんを含む他のがんの臨床試験で検討されている。
NCI-MATCH試験では、最近、PD-1またはがん細胞上のその結合パートナーであるPD-L1を標的とする免疫チェックポイント阻害薬による治療後にがんが進行した患者を対象として、Opdualagを評価するための新規治療群が追加された。
複数の試験で、免疫チェックポイント阻害薬の併用は、個々の免疫チェックポイント阻害薬による治療よりもある種のがんの治療に対し効果があるかもしれないことが示されている。例えば、ニボルマブとイピリムマブ(販売名:ヤーボイ)は、CTLA-4と呼ばれる免疫細胞上のチェックポイントタンパク質を阻害するが、脳に転移したメラノーマに対してはニボルマブの単剤療法よりも効果がある。
ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は、未治療で切除不能または転移性のメラノーマに対する標準治療である。無増悪生存期間に関しては、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法とレラトリマブ+ニボルマブ併用療法は、臨床試験においては同様の結果を示した。
しかしながら、レラトリマブ+ニボルマブ併用療法は、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法よりも副作用が少ないと考えられる。New England Journal of Medicine に公表されたERALTIVITY-047試験の結果に関する論説記事の著者らは、重篤な副作用はレラトリマブ+ニボルマブ併用療法群で20%以下であったのに対し、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法群では60%近くだったと報告している。
Sharon医師は次のように話している。「これらの治療レジメンにおける安全性の違いを考慮すれば、ニボルマブ+レラトリマブ併用療法がニボルマブ+イピリムマブ併用療法と比較して全生存期間を延長するかどうかを経時的に確認していくのは興味深いことです」。
Sharon医師は次のようにもつけ加えた。「進行メラノーマのさまざまな治療選択肢の中から患者や医師が選択を行えるよう支援するには、RELATIVITY-047試験の長期的な追跡データが必要です」。
2021年6月にCancer Currentsブログで、本臨床試験の結果と患者への潜在的影響について解説している。
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