FDAが局所進行/転移基底細胞がんにセミプリマブを承認
2021年2月9日、米国食品医薬品局(FDA)は、ヘッジホッグ経路阻害剤(HHI)による治療歴があるか、同剤が不適応な局所進行基底細胞がん(laBCC)患者にセミプリマブ(販売名:Lybtayo[リブタヨ]、Regeneron Pharmaceuticals, Inc.社)を正式承認した。また、HHIによる治療歴があるか、同剤が不適応な転移基底細胞がん(mBCC)患者にはセミプリマブを迅速承認した。
有効性は、現在行われている多施設ランダム化非盲検試験(試験1620、NCT03132636)により評価した。試験の対象となったのは、局所進行/転移基底細胞がん患者のなかで、ヘッジホッグ経路阻害剤療法により疾患が進行した患者、同療法の9カ月後に奏効が認められなかった患者、あるいは以前の同療法に不耐性であった患者であった。適格基準は学際的評価により、局所進行基底細胞がん患者が根治目的の手術または根治的放射線治療の候補者ではないことを条件とした。 すべての患者に対し3週間ごとに最長93週間、セミプリマブ350mgを投与し、疾患が進行するまで、忍容できない毒性が認められるまで、あるいは予定していた治療が終了するまで継続した。
主要有効性評価項目は、独立した中央判定により評価される奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)とした。外見により判別できない標的病変を有した転移基底細胞がん患者に対する確定奏効率(confirmed ORR)は、RECIST 1.1により評価した。外見で判別可能な標的病変を有した局所進行基底細胞がん患者および転移基底細胞がん患者に対しては、デジタル医用画像を用いた臨床的奏効基準とRECIST 1.1を組み合わせた複合的な奏効評価を使用した。
局所進行基底細胞がん患者84人において、確定奏効率は29%(95%信頼区間[CI]:19~40)で奏効期間中央値は未到達であり(範囲:2.1~21.4カ月以上)、奏効例の79%は6カ月以上の奏効を維持していた。 転移基底細胞がん患者28人においては、確定客観的奏効率は21%(95%CI:8~ 41)で奏効期間中央値は未到達(範囲:9~23.0カ月以上)であり、すべての奏効例は6カ月以上の奏効を維持していた。
重篤な有害反応は、免疫介在性の有害反応(例:肺臓炎、肝炎、大腸炎、副腎機能不全、甲状腺機能低下または甲状腺機能亢進、糖尿病、および腎炎)ならびに急性輸液反応である。最もよくみられた有害反応(発現率20%以上)は、疲労、筋骨格系疼痛、下痢、発疹、およびそう痒であった。
セミプリマブの推奨用量は、3週間ごとに350mgを30分かけて行う点滴静注で、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで継続する。
Lybtayoの全処方情報はこちらを参照。
本審査には、FDAによる評価を円滑に進めるために 申請者が自発的に申請するAssessment Aidが使用された。
本申請は優先審査に指定された。FDA迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」(the Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。
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