FDAがメラノーマに初の腫瘍溶解性ウイルス療法を承認
米国食品医薬品局(FDA)ニュース
米国食品医薬品局(FDA)は本日、皮膚およびリンパ節におけるメラノーマ(悪性黒色腫)病変の治療薬としてtalimogene laherparepvec(商品名:Imlygic)を承認した。腫瘍溶解性ウイルス療法薬が初めてFDAの承認を得たことになる。
「メラノーマは進行し他の部位に転移すれば治療が困難となる重篤な疾患です。今回の承認により、メラノーマに対する新規の治療法が患者や医療者にもたらされます」とFDA生物製剤評価研究センター長のKaren Midthun医師は述べる。
皮膚がんは米国で最も多いがんであり、メラノーマは皮膚がんの一種で、皮膚がん関連死亡原因のトップを占めている。メラノーマの原因として最も多いのは紫外線(UV)曝露である。米国国立がん研究所(NCI)は、2015年にメラノーマと診断される米国人は約74,000人、死亡者数は10,000人近くに上ると推定している。
遺伝子組換え腫瘍溶解性ヘルペス生ウイルス療法薬talimogene laherparepvecは、手術により完全に切除することのできないメラノーマ病変の治療薬である。この薬はメラノーマ病変に直接注射され、病変部のがん細胞の中でウイルスが複製し結果的にがん細胞は破裂して死に至る。
talimogene laherparepvecによるメラノーマの治療は、病変に一連の注射を打つことで進められる。初回注射の3週間後に2回目の注射を打ち、その後もし他の治療が必要になるか注射可能な治療病変が無くならない限り、最低6カ月間2週間毎に注射が繰り返される。
talimogene laherparepvecの安全性および有効性は、切除不能の転移性メラノーマの患者436人を対象とした多施設共同試験において評価された。参加した患者はtalimogene laherparepvec投与群あるいは比較対照療法群に分けられ、皮膚・リンパ節病変に対する治療を最低6カ月間、あるいは注射可能な病変がなくなるまで受けた。その結果、talimogene laherparepvec投与群患者の16.3%において皮膚・リンパ節病変の縮小が最低6カ月間持続した。それに対し対照療法群の患者でこの効果が認められたのは2.1%であった。しかし、talimogene laherparepvecによる全生存期間の改善、また脳、骨、肝臓、肺などの臓器に広がったメラノーマに対する治療効果はみられなかった。
この臨床試験に参加した患者において最も多く認められた副作用は疲労、悪寒、発熱、悪心、インフルエンザ様症状、注射部位の疼痛であった。また、talimogene laherparepvecは遺伝子組換え腫瘍溶解性ヘルペス生ウイルス薬であるため、ヘルペスウイルス感染が生じる可能性もあり、免疫系が抑制されている患者や妊婦には投与するべきではない。
talimogene laherparepvecは、カリフォルニア州サウザンドオークスに本社を置くアムジェン社の子会社、バイオベックス社が製造している。
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