FDAが進行性メラノーマの治療にニボルマブを承認

米国食品医薬品局(FDA)ニュース

速報

米国食品医薬品局(FDA)は本日、他の薬剤に耐性を示す根治切除不能(手術で除去しきれない)または転移性(進行性)のメラノーマに対する新たな治療薬としてニボルマブ(オプジーボ)を迅速承認した。

メラノーマは、米国で5番目に多い癌である。メラノーマは、体内で皮膚の色素を産生するメラノサイトという細胞に形成される。米国国立癌研究所(NCI)によると、2014年には76,100人の米国人がメラノーマと診断され、9,710人が本症により死亡すると推定される。

ニボルマブは、メラノーマに対する身体免疫系の攻撃を阻止するPD-1タンパク質の働きを細胞上で抑制する。ニボルマブは、過去にイピリムマブ[ipilimumab]による治療を受けた患者、またはBRAF V600と呼ばれる遺伝子変異が認められるメラノーマ患者を対象としており、イピリムマブおよびBRAF阻害剤による治療後に使用される。

「ニボルマブは2011年以降7番目にFDAの認可を受けたメラノーマ治療薬です」とFDA医薬品評価研究センター血液腫瘍製品室長のRichard Pazdur医師は語る。「腫瘍免疫と分子経路に対する理解の向上を基盤とした継続的な新薬開発や新規治療法の承認によって、重篤で生命を脅かす疾患の治療の枠組みが変化してきています」。

この他、FDAの承認を受けたメラノーマ治療薬は、イピリムバブ(2011)、ペグインターフェロン アルファ-2b(2011)、ベムラフェニブ[vemurafenib](2011)、ダブラフェニブ[dabrafenib](2013)、トラメチニブ[trametinib](2013)およびペムブロリズマブ[pembrolizumab](2014)である。ニボルマブは、処方薬ユーザーフィー法に基づくFDA審査完了期日の2015年3月30日より3ヵ月以上前倒しに承認された。

FDAは、ニボルマブが既存の治療薬と比較して著効を示すことが予備試験によって実証されたことを受け、本剤を画期的治療薬に指定するとともに、承認申請時点で重篤疾患治療の安全性および有効性に対し顕著な改善を示す可能性がある優先審査制度該当品目および希少疾患の治療を目的とする希少疾患医薬品に指定した。

ニボルマブは、FDAの迅速承認制度によって認可された。この制度では、代替評価項目に対する薬剤の有効性を示した臨床データから患者への臨床効果が十分に期待される場合に、重篤なまたは生命を脅かす疾患の治療薬を早期に承認することができる。この制度によって、検証試験の実施期間中であっても、患者は有望な新薬を利用することができる。

ニボルマブの有効性は、根治切除不能または転移性のメラノーマ患者120人が参加した臨床試験によって示された。試験結果では、ニボルマブ投与患者の32%で腫瘍縮小が認められた(客観的奏効率)。この効果は、腫瘍縮小を認めた患者の約1/3で6カ月以上持続した。

ニボルマブの安全性を、本剤を投与した全患者集団268人および化学療法を受けた患者102人を対象に評価した。本剤による発現率が高かった副作用は、発疹、そう痒、咳嗽、上部気道感染および液体貯留(浮腫)であった。最も重篤な副作用は、肺、結腸、肝臓、腎臓、ホルモン産生腺などの正常臓器に関連した高度の免疫介在性副作用である。

ニボルマブは、ニュージャージー州プリンストンを拠点とするブリストル・マイヤーズ スクイブ社が発売元となる。

翻訳担当者 佐々木真理

監修 東 光久(天理よろず相談所病院 血液癌・腫瘍内科領域担当)

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