医療者から患者へ「放射線治療シリーズ」の活用を推薦

-NCI原文-

~患者のための~『放射線治療の副作用への対処』【電子書籍】を発行しました。こちらから。

放射線治療および副作用に関するファクトシート(手引き)について

これらのファクトシートは、患者が放射線治療とその副作用の対処法について学ぶ手引きであり、医療者であるあなたと患者とが話し合う際のサポートを目的としています。これら11のファクトシートには患者が放射線治療や副作用に関する理解力を高め、自宅でのセルフケアを行うために役立つ具体的なアドバイスが記載されています。9つは放射線治療の一般的な副作用について、残り2つは放射線治療の2つのタイプについてそれぞれ説明しています。


これらのファクトシートは分かりやすい言葉、経験談の引用、写真やQ&Aなどを使って、患者が治療をよく理解して積極的に自分の治療に参加できる手引きとなります。ファクトシートに記載されている一般的な情報は医療者と患者が個別の相談を補足する目的で作成されています。

現在あるトピックとファクトシートのご注文については下記のリストをご覧下さい。

放射線治療およびその副作用について、患者により理解してもらうためには、NCIの冊子「放射線治療とあなた」(※注:「市民のためのがん治療の会」が翻訳出版されています)をご注文ください。

他の医療者からのファクトシートに対する感想

「分かりやすい、家に持って帰れるシートを渡せるのは大変いい考えですね。人は不安な気持ちの時に医師から言われたことは、ほとんど覚えていないからです。」


「我々はこれらを患者全員に渡すでしょうね。よく読む人にも読むのが得意でない人にも。それから、待合室で前もって読んでもらうのにも理想的です。」


「このシートの素晴らしいところは、我々が患者と話すときに必要な話題を備えているとことです。また、お互い何か忘れていることがないか確認することもできますね。」


「このシートは治療をより自分のものと考えさせ、患者が質問をしやすくなるでしょう。患者はしばしば、恥ずかしい話題は質問したがらないことが多いのですが、この経験談などは患者をもっとオープンにしてくれるでしょう」


研究によると、早い時期から副作用の対処法や前治療の情報を知っておくことは、患者の恐れや不安感を軽減して治療に対する理解が増すことが示されています。

Hofman, et al. 2004. 「癌患者が予想する治療に関した副作用」. Cancer. 101(4):851-857.

臨床の場で放射線治療ファクトシートを使用するときのアドバイス

1.患者に、該当のファクトシートを渡す

患者があなたの診察室にいる間に、ファクトシートの内容について話す。

・実際に患者が診察室にいる間にこれらのシートについて話したほうが、患者が家でもそれを読み、利用する可能性が高くなります。
・治療で予想されることや必要な対処を患者が理解すれば、それだけ副作用に対する不安感が減少します。
・ファクトシートを渡すタイミングは患者が待合室にいる間や、あるいは診察の初め、もしくは放射線治療とその副作用について話している時でも構いません。

2.重要な情報や対処のステップに、印をつけるか丸で囲む

それぞれのファクトシートの鍵となる情報や対処のステップに、蛍光ペンや色ペンで印をつけて注意を促す。

・この簡単な作業で、患者があなたの指導する行動を守りやすくしてくれます。

3.ティーチバック(指導体験)法を使う
重要な行動や情報は、理解したことを患者自身に自分の言葉で説明させる。

・患者が理解したことを確認するためにティーチバック法を使用すると、患者の記憶や理解が向上するとされています。
・患者との話し合いの際にティーチバック法を使用すると、誤解の発生を減らすことができます。また、その後の診察でも同じことを指導する手間が省けます。

放射線治療の副作用管理シリーズ

下痢
軟便(下痢)について知っておくべきこと

倦怠感
倦怠感について知っておくべきこと

脱毛
脱毛について知っておくべきこと

口や喉の痛み
口、喉の痛みについて知っておくべきこと

吐き気、嘔吐
吐き気や嘔吐について知っておくべきこと

性機能(男性)
性機能の変化や生殖能力について知っておくべきこと(男性)

性機能(女性)
性機能の変化や妊娠について知っておくべきこと(女性)

皮膚トラブル
軽い皮膚トラブルについて知っておくべきこと

排尿トラブル
排尿時のトラブルについて知っておくべきこと


放射線治療の理解

小線源治療
小線源治療(体内照射療法の一種)について知っておくべきこと

外部照射治療
外部照射治療について知っておくべきこと

注:このファクトシート上で言及されている製品あるいは商標名はあ榎本 裕(泌尿器科)で一例です。米国政府はいかなる特定の製品あるいは商標を支持するものではありません。製品あるいは商標名が言及されていないからといって、それらが満足いくものでないという意味ではありません。

「放射線治療の理解」および「放射線治療の副作用シリーズ」のファクトシートは、50枚綴りの切り取りタイプか、単一シートのいずれかでオーダーして下さい。
・タイトルごとでオーダーする。
・NCI(米国国立癌研究所)のインフォメーションサービス1-800-422-6237
(1-800-4-CANCER) まで電話する。
・あるいは、ウェブ上www.cancer.gov/publicationsからオーダーする。

翻訳担当者 中島美香

監修 中村光宏 (医学放射線)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

がん治療に関連する記事

一部の転移固形腫瘍に免疫細胞療法が有効な可能性の画像

一部の転移固形腫瘍に免疫細胞療法が有効な可能性

新たな細胞免疫療法が転移性固形腫瘍の治療に有効である可能性が、小規模臨床試験の初期所見で示された。この臨床試験では、米国国立衛生研究所(NIH)の研究者らが、各患者の正常な白血球(リン...
がんサバイバーの声で抗がん剤の投与量を再検討の画像

がんサバイバーの声で抗がん剤の投与量を再検討

2019年、転移性乳がんに対する2回目の放射線治療を終えたKimberlyに対して、腫瘍医は分子標的薬パルボシクリブ(販売名:イブランス)を推奨用量である1日125 mgで投与を開始し...
AIツールで免疫療法薬へのがん患者の反応を予測の画像

AIツールで免疫療法薬へのがん患者の反応を予測

概要米国国立衛生研究所(NIH)の研究者らは概念実証研究において、単純な血液検査などの日常的な臨床データを使用して、患者のがんが免疫チェックポイント阻害薬(免疫細胞によるがん細...
患者に合う抗がん剤をより正確に選択できるAIツールを開発の画像

患者に合う抗がん剤をより正確に選択できるAIツールを開発

AIモデル RNA   バルクシーケンシング シングルセルシーケンシング トランスクリプトミクス