デュルバルマブがPD-L1高発現の再発・転移性頭頸部扁平上皮がんに有効
プラチナベースの化学療法後に増悪がみられたPD-L1高発現の再発または転移性の頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者が、抗PD-L1免疫治療薬、durvalumab[デュルバルマブ]に高い奏効を示したことが、スペイン、マドリードで開催された2017年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で報告された。
プログラム細胞死1(PD-1)とそのリガンド1(PD-L1)は、腫瘍タイプのうち特に頭頸部扁平上皮がんで発現増加が報告されている。このことから、Dan P. Zandberg医師(米国メリーランド州、ボルティモアにあるUniversity of Maryland Greenebaum Comprehensive Cancer Center血液科/腫瘍科)は、再発または転移性の頭頸部扁平上皮がん患者を対象に、デュルバルマブ単剤療法を国際単群第2相 HAWK 試験 (NCT02207530)で検証した。
HAWK 試験の組み入れ対象は、再発または転移性の頭頸部扁平上皮がんのプラチナベース治療1レジメンを実施中、あるいは実施後に増悪または再発がみられ、免疫療法の治療歴がなく、PD-L1高発現(VENTANA SP263アッセイで腫瘍細胞の25%以上に染色が確認されること)の成人患者とした。デュルバルマブは、患者112人に10 mg/kg の用量で、増悪、他の抗がん治療開始、同意の撤回、忍容できない毒性の発現のいずれかが生じるまで最長12カ月間、静脈内に投与された。患者は12カ国から募集し、年齢の中央値は60歳、71.4%が男性であり、34.3% はヒトパピローマウイルス(HPV)陽性、61.6%は喫煙者または元喫煙者であった。
試験の主要評価項目は客観的奏効率(ORR) であり、RECIST v1.1に従い盲検化独立中央判定により評価した。無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を副次的評価項目とした。
治療の選択肢が限られ、予後が良好でない再発または転移性の頭頸部扁平上皮がん患者にデュルバルマブが有望
2017年3月31日のデータ締め切り時点で、治療期間中央値は3.45カ月、追跡期間中央値は6.13カ月であった。評価可能なデータを有する患者111人では、客観的奏効率は16.2%(95% 信頼区間[CI]、9.9–24.4)であった。奏効した患者18人のうち、10人(55%)にデータ締め切り時点で奏効持続が認められた。
24 週時の病勢コントロール率(24週時に完全奏効または部分奏効を示した患者と安定を示した患者の合計)は23.4%であった。
コホート全体では、無増悪生存期間中央値は2.1カ月(95% CI、1.9–3.7)、全生存期間中央値は7.1カ月(95% CI、4.9–9.9)、12カ月生存率は33.6%(95% CI、24.8–42.7)であった。
ヒトパピローマウイルス陽性の頭頸部扁平上皮がん患者で、より高い奏効率
ヒトパピローマウイルス感染有無に基づく探索的解析で奏効率を評価した場合、ヒトパピローマウイルス陽性患者の客観的奏効率は29.4%、陰性患者では10.8%であった。
デュルバルマブは、これまでの報告と一致した管理可能な安全性プロファイルを示した。グレード3以上の治療に関連した有害事象の発現率は8.0%であった。治療に関連した有害事象によるデュルバルマブの投与中止は患者1人のみであった。治療に関連した有害事象による死亡はなかった。
結論
デュルバルマブは、PD-L1高発現の再発または転移性の頭頸部扁平上皮がん患者において、有望な抗腫瘍効果と忍容可能な安全性プロファイルを示した、と著者は結論づけた。これらのデータは、この患者集団へのデュルバルマブ使用の可能性を支持するものである。
再発または転移性の頭頸部扁平上皮がんを対象とするデュルバルマブ単剤またはデュルバルマブとトレメリムマブ(抗CTLA-4抗体)併用の第3相試験(EAGLE NCT02369874、 KESTREL NCT02551159)が現在進行中である。
開示
本試験は、AstraZeneca社の支援を受けた。
参考文献
1042O – Zandberg D, et al. Durvalumab for recurrent/metastatic (R/M) head and neck squamous cell carcinoma (HNSCC): preliminary results from a single-arm, phase 2 study.
原文掲載日
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