OncoLog2014年6月号◆In Brief「強度変調放射線療法(IMRT)により頭頸部癌患者の生存が改善」

MDアンダーソン OncoLog 2014年6月号(Volume 59 / Number 6)

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強度変調放射線療法(IMRT)により頭頸部癌患者の生存が改善

最近の試験によると、頭頸部癌患者において、強度変調放射線療法(IMRT)は従来放射線療法と比較して、有意に高い原因別生存率と関連することがわかった。本試験の結果から、IMRTが頭頸部癌患者の生存転帰を改善することが初めて示唆された。

「これまでの試験から、IMRTを施行された患者において治療関連の副作用が軽減することが示されています。しかし、これらの試験はIMRTが生存率に及ぼす影響を検討するようにデザインされていませんでした」とテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの放射線腫瘍学の助教であり、本試験報告の筆頭著者であるBeth Beadle医学博士は述べた。「IMRTは、正常組織への線量を低減しつつ、腫瘍に放射線を照射するように治療計画が立案されています。これまでのモデルでは、IMRTによる生存率は従来放射線療法による生存率と同程度と推定されていました」。

Beadle医師らは、Surveillance, Epidemiology and End Results(SEER)Medicareデータベースを用いて、1999年~2007年に従来放射線療法(2,116人)またはIMRT(1,056人)が施行された各サブタイプの頭頸部癌患者3,172人を特定した。

追跡調査期間の中央値40カ月において、IMRT施行患者(84%)の原因別生存率は従来放射線療法施行患者(66%)より有意に高かった(P < 0.001)。この差は、バイアスをもたらす可能性のある因子を補正した後にも維持された。

「科学的観点から、この結果はIMRTの使用を支持し、IMRTは癌転帰を最適化して副作用を軽減する優れた治療法になり得ることが示唆されます」とBeadle医師は述べた。「医療費や医療資源の配分の観点から、IMRTは従来放射線療法より費用がかかりますが、今回のデータからそれだけの価値があることが示唆されます」。

本試験はCancer誌3月号で報告された。

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翻訳担当者 永瀬祐子

監修 中村光宏 (医学放射線/京都大学大学院医学研究科)

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