頭頸部がんに多い治療副作用と口腔マイクロバイオームの関連を発見

MDアンダーソンがんセンター

口腔粘膜炎(口内のただれの発症)は、頭頸部がんによく見られる副作用であり、90%もの患者が罹患する。口腔粘膜炎は、経口摂取困難、体重減少、疼痛や感染症管理のための再入院や長期入院につながることがある。主任研究者Cielito Reyes-Gibby DrPHと共同研究者Christine Peterson博士の主導による新しい研究では、頭頸部扁平上皮がんの治療中および治療後において、口腔マイクロバイオームの特徴が口腔粘膜炎の重症度におよぼす影響を調査した。この研究は、口腔粘膜炎のメカニズム解明を目指す進行中のプロジェクトの一環であり、口腔粘膜炎の重症度と正負に相関する特定のマイクロバイオームの特徴との関連性を明らかにした。この知見は、症状を最小限に抑えられる、個人に合わせたマイクロバイオーム介入による個別化治療の可能性を示唆している。詳細はCancer誌を参照のこと。

【MDアンダーソン研究ハイライト 2023/09/21】 特集:マイクロバイオームに関する洞察、KRAS阻害薬耐性を克服する標的、免疫療法に膠芽腫を感作する新規アプローチ、AMLの新薬など

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、がんの治療、研究、予防における最新の画期的な発見を紹介している。これらの進歩は、世界をリードするMDアンダーソンの臨床医と科学者の垣根を超えた継ぎ目のない連携によって可能となり、研究室から臨床へ、そしてまた研究へと発見がもたらされる。

MDアンダーソンにおける最近の研究として、頭頸部がんに多い治療副作用に関連するマイクロバイオームの特徴の同定、KRAS阻害薬治療耐性を克服するための新しい標的、低リスク集団による遺伝子検査受検の敷居を低くする新しいモデル、 腫瘍微小環境を再プログラムし免疫療法に膠芽腫を感作するエピジェネティック標的、乳がん手術を回避できた女性の前向きな経験、腸内マイクロバイオームと黒色腫(メラノーマ)の進行との関係についての洞察、再発または難治性の急性骨髄性白血病に対するvibecotamab[ビベコタマブ]の第1相試験からの良好な結果、などがある。

  • 監訳 下村昭彦(乳腺・腫瘍内科/国立国際医療研究センター 乳腺腫瘍内科)
  • 翻訳担当者 奥山浩子
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  • 原文掲載日 2023/09/21

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