アービタックスは頭頸癌患者の生存を改善する
キャンサーコンサルタンツ
2008年9月
EXTREME(Erbitux in First-Line Treatment of Recurrent or Metastatic Head and Neck Cancer:再発および転移頭頸部癌のアービタックスによる一次治療)臨床試験で、プラチナ製剤+フルオロウラシルをベースとした化学療法にアービタックス[Erbitux](セツキシマブ[cetuximab])を加えると、化学療法のみの場合に比較し、再発および転移頭頸部癌患者の生存が改善することが報告された。このランダム化臨床試験の中間結果は2007年米国臨床腫瘍学会[American Society of Clinical Oncology (ASCO)]年次総会で発表され、New England Journal of Medicine 誌2008年9月11日号に掲載された。
アービタックスは、上皮増殖因子受容体[EGFR]発現転移性結腸直腸癌の治療において、イリノテカンをベースとする治療法に抵抗性を示す患者へのイリノテカン(Camptosar®/※日本ではカンプトまたはトポテシン)と併用しての使用と、イリノテカン治療に忍容性の低い患者への単独の治療薬としての使用が承認されている。アービタックスは、局所もしくは局部進行頭頸部扁平上皮癌治療での、放射線治療との併用療法か、あるいはプラチナ製剤をベースとする前治療の奏効しない転移性または再発性頭頸部扁平上皮癌治療での単独治療薬としても承認されている。
今回のヨーロッパでの臨床試験には局所的に治療することができない3期あるいは4期の再発性頭頸扁平上皮癌患者442人が参加した。患者の4分の1は喉頭癌、ほぼ半数は咽頭癌であった。ほとんどが男性であった(399人)。
患者は、3週ごと6サイクルの5FUに加えてカルボプラチン(パラプラチン[Paraplatin®])あるいはシスプラチンを加えた投与計画のグループ、あるいは、同じ化学療法にアービタックスを初回400mg/㎡、2回目以降毎週250mg/㎡を加えた投与計画のグループに無作為に割り付けられた。アービタックスでの治療は、患者の病勢増悪あるいは忍容できない毒性が発現するまで行われた。
・生存期間中央値は、化学療法単独の患者グループが7.4カ月だったのに比較し、アービタックスによる治療を受けた患者グループでは10.1カ月であった(p=0.04)。
・無増悪期間中央値は、化学療法単独の患者グループが3.3カ月だったのに比較し、アービタックスによる治療を受けた患者グループでは5.6カ月であった。
・よくみられる副作用としては、貧血、好中球減少、血小板減少があげられ、両グループで同様にみられた。
・アービタックスでの治療を受けたグループでより多くみられたのはざ瘡様発疹で、また敗血症は化学療法単独患者グループの1人に対し9人であった。
・アービタックス投与に関係する死亡例はなかった。
研究者らは、一次治療としてのアービタックスを加えたプラチナ製剤をベースとした化学療法はすべき毒性をもたらすことなく進行性頭頚部癌患者の生存を高めるとしている。
参考文献:
[1] Vermorkin J, Media R, Rivera F, et al. Platinum-based chemotherapy plus cetuximab in head and neck cancer. New England Journal of Medicine. 2008;259:1116-1127
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