血漿中EBV検査が上咽頭がんスクリーニングに有効な可能性

上咽頭がんのスクリーニングにおける血漿中のEBウイルスDNAの前向き解析

ある前向き研究で、循環エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)DNAが、香港の無症候の参加者20,174人から採取された血漿検体で測定され、309人の陽性者のうち34人に上咽頭がんが判明した。

病期の分布および無増悪生存率(PFS)は、これまでのコホートより今回の試験参加者34人の方が良好であった。

この結果は、Allen Chan 氏をはじめとする香港の研究者らが、2017年8月10日、New England Journal of Medicine誌で発表した。

専門の研究者らの説明によれば、循環無細胞EBV DNAは、上咽頭がんのバイオマーカーである。

研究者らは、上咽頭がんの前向き研究において無症候の参加者をスクリーニングするため、血漿検体のEBV DNAを解析した。

最初に陽性の結果を呈した試験参加者は、約4週間後に再検査を受け、再び、血漿中EBV DNA陽性であった参加者は、経鼻内視鏡検査および磁気共鳴映像法(MRI)検査を受けた。

総計20,174人がスクリーニングを受けた。

EBV DNAは、参加者のうち1,112人(5.5%)から採取した血漿検体で検出され、309人(全参加者の1.5%、最初に陽性であった参加者のうち27.8%)が再度採取した検体で再び陽性であった。

上記309人のうち、300人が内視鏡検査を受け、275人が内視鏡検査およびMRI検査を受けた。そのうち34人が上咽頭がんであった。

スクリーニングで上咽頭がんが見つかった試験参加者では、これまでのコホートと比べステージIまたはIIである比率が顕著に高く(71% vs. 20%, p < 0.001)、3年PFSが高かった(97% vs. 70%; ハザード比 0.10; 95%信頼区間 0.05 ~ 0.18)。

9人の参加者は検査をそれ以上受けることを拒否し、うち1人は登録後32カ月後に進行上咽頭がんと診断された。

血漿検体のEBV DNAが陰性であった参加者で、検査後1年以内に上咽頭がんを発症したのは1人だけであった。

全体的に、上咽頭がんのスクリーニングにおける血漿検体中のEBV DNAの感度と特異度は、それぞれ97.1%および98.6%であった。

試験責任医師らは、血漿検体中のEBV DNAの解析が、早期に無症候性上咽頭がんであるかどうかを調べるのに有用であり、無症候性上咽頭がんが有意に早く検出され、スクリーニングでがんを特定できた参加者の方がこれまでのコホートより転帰が良好であったと結論づけた。

本試験(ClinicalTrials.gov番号:NCT02063399)は、Kadoorie Charitable Foundationおよび香港政府のResearch Grants Councilからの助成を受けていた。

参考文献

Chan KCA, Woo JKS, King A, et al. Analysis of Plasma Epstein–Barr Virus DNA to Screen for Nasopharyngeal Cancer. N Engl J Med 2017;377:513-522.

翻訳担当者 太田奈津美

監修 東 光久(総合診療、腫瘍内科、緩和ケア/福島県立医科大学白河総合診療アカデミー)

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