HPVワクチンは口腔HPV感染も予防する
米国国立がん研究所(NCI)ニュースノート
原文掲載日 :2013年7月17日
子宮頸癌の70%で発症原因となる二つの型のヒトパピローマウイルス(HPV)を標的とするワクチンを接種した女性らに、口腔HPV感染の予防という新たな効果が認められた。その口腔感染は扁桃や咽頭の癌(中咽頭癌)につながる恐れがある。このワクチンが子宮頸癌だけでなく、生殖器と肛門のHPV16型および18型の感染や関連疾患を防ぐことは、これまでに立証されている。今回の研究以前に、口腔HPV感染に対するワクチンの有効性は明らかになっていなかった。米国国立癌研究所(NCI)の研究者らはコスタリカの研究者らと協力して、ワクチンが口腔感染を90%以上減少させたと明らかにした。この結果は、PLOS ONE誌2013年7月17日号において発表された。
本研究はNCIコスタリカワクチン臨床試験、すなわち子宮頸部のHPV16/18型の感染や関連疾患に対するワクチン効果を評価するよう計画されたランダム化臨床試験の一環であった。2004年から2005年にかけて、臨床試験責任医師らは18歳から25歳の健康な若い女性7,466人を臨床試験に組み入れた。女性らは、HPV16/18型ワクチンまたは対照ワクチンのいずれかを接種するよう割り付けられた。ワクチン接種から4年後、参加者らは口腔内採取した検体を提供し、それによって研究者らは、ワクチンが口腔HPV感染を予防するかどうかを判定することができた。臨床試験責任医師らは、口腔HPV16/18型感染に対するワクチンの有効性が93%であったことを示した(HPVワクチン接種群での1例に対し、対照ワクチン接種群では15例の感染が報告された)。口腔内の感染は生殖器官内に比べて発症はより少なく、また口腔感染が癌に進行することはごく稀である。今回の研究発表の統括著者であるNCIのAimée R. Kreimer医学博士によれば、本ワクチンは大多数の口腔感染を予防すると見込まれ、ゆえにHPVが関連した中咽頭癌の減少に寄与するという。
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