小児がんサバイバーの長期生存率が向上傾向

キャンサーコンサルタンツ

小児がんサバイバーの間では、生命を脅かす長期間の副作用を軽減するように治療が改良されてきたため、長期生存率は改善し続けている。これらの結果は、このほどNew England Journal of Medicine誌に掲載された。

1970年代や80年代にがんと診断された小児では、診断後5年生存した患者の約20%が、その後25年以内に死亡していた。これら死亡の大部分は、治療に伴う致死的な晩期副作用によるものであり、治癒あるいは少なくとも診断後約20年間の生存期間の延長をもたらした治療に伴う副作用が死因となっていた。

研究者や医療従事者により、生命を脅かす晩期副作用の直接的な原因になっている治療が特定されたため、1990年代、小児がんの治療戦略は治癒率を維持しながら、晩期副作用を軽減するように改良された。

研究者らはこのほど、小児がん患者を対象とし、生命を脅かす晩期副作用を軽減させるために用いられた治療戦略の変更が、長期生存に変化をもたらしたかどうか確かめるためにデータを評価した。
研究には、小児がん発症後に最低5年以上生存した小児がんサバイバー研究(Childhood Cancer Survivor Study)コホートの34,033人が含まれていた。
患者は21歳未満でがんと診断され、1970年から1999年までの期間に治療を受けた。追跡期間の中央値は21年であった。

・追跡期間15年時点において、何らかの原因で死亡した患者の割合は、1970年代から1990年代の間で減少した。
・この期間に、健康関連の原因による死亡率も明らかに減少した。
・急性リンパ芽球性白血病およびウィルムス腫瘍の患者では、特定の治療への暴露の減少にともない、生命を脅かす晩期副作用による死亡率が減少した。

研究者らは、「治療への暴露を減らす戦略が小児がん5年サバイバーの遅発性死亡率減少に寄与した」と結論づけた。

治療戦略はより個別化された治療へと進化し続けているため、小児がんサバイバーの長期生存率はさらに大幅に向上する可能性がある。

参考文献:
Armstrong G, Chen Y, Yasui Y, et al. Reduction in Late Mortality among 5-Year Survivors of Childhood Cancer. New England Journal of Medicine. 2016; 374:833-842.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 橋本奈美

監修 東 光久(総合診療、腫瘍内科、緩和ケア/福島県立医科大学白河総合診療アカデミー)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

小児がんに関連する記事

貧困層をターゲットにした小児がん治療改善プログラムの画像

貧困層をターゲットにした小児がん治療改善プログラム

ダナファーバーがん研究所の研究者らが開発した小児RISE(公平性を支援するための資源介入)と呼ばれるプログラムのパイロット試験では、がん治療を受けている子供を持つ貧困家庭を対象にその実...
がん患児が必要な支持療法を受けられるよう支援の画像

がん患児が必要な支持療法を受けられるよう支援

がん治療中の若年患者に症状について定期的に尋ねるという単純な行為によって、患者らがより良い支持療法を受けられ、つらい副作用が軽減されるようになることが、2件の新たな臨床試験結果からわか...
FDAが再発/難治性のBRAF変異陽性小児低悪性度神経膠腫にトボラフェニブを迅速承認の画像

FDAが再発/難治性のBRAF変異陽性小児低悪性度神経膠腫にトボラフェニブを迅速承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年4月23日、米国食品医薬品局(FDA)は、BRAF融合遺伝子または遺伝子再構成、あるいはBRAF V600変異を有する生後6カ月以上の再発または難治...
小児がんサバイバーでは、遺伝的要因が二次がんリスクに影響の画像

小児がんサバイバーでは、遺伝的要因が二次がんリスクに影響

米国国立がん研究所(NCI)ニュースリリース高頻度でみられる遺伝的要因は、一般集団においてがんリスクを予測できるが、小児がんサバイバーにおける二次がんのリスク上昇も予測できる可能性があ...