FDA医薬品安全性通達:腫瘍壊死因子(TNF) 阻害剤と小児悪性腫瘍リスクに関する最新情報
2011年11月3日
米国食品医薬品局(FDA)は、腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤と小児、思春期小児および若年成人(30歳以下)における悪性腫瘍(癌)について継続中の安全性レビュー公開情報を更新した。FDAは、TNF阻害剤の製造元に対し、これらの製品の安全性調査を強化して実施するよう要請している。
強化された安全性調査では、製造元は悪性腫瘍発症例に関して徹底した追跡調査を行い、小児および若年成人の悪性腫瘍例を全例、迅速報告(認識してから15日以内)としてFDAに提出することとされている。製造元はまた、年次概要、悪性腫瘍の評価、ならびにTNF阻害剤利用データをFDAに提供することになる。FDAはより完全で一貫した報告に基づき、より徹底的に全報告悪性腫瘍例を捉え解析できるようになるため、TNF阻害剤治療を受けた小児および若年成人における悪性腫瘍の理解向上のために、この種の安全性調査は重要である。
医療従事者は、TNF阻害剤を投与された患者における悪性腫瘍の発症例に引き続き警戒し、そのような症例が発生した場合はFDAMedWatchプログラムまたはTNF阻害剤の製造元に報告しなくてはならない。FDAまたは製造元から医療従事者に対し、悪性腫瘍発症例に関して、臨床、および診断に関する追加情報の問合せを行うことがある。収集する情報には以下を含めること。
- 患者特性(年齢、性別、患者識別コードは記載しないこと)
- 悪性腫瘍のリスク因子
- 他の免疫抑制剤あるいは悪性腫瘍を引き起こすリスクのある薬剤への曝露
- TNF阻害剤治療に対する適応
- TNF阻害剤への曝露(投与期間、用量)
- 癌の診断(診断日、病期)
- 生検の結果
- 悪性腫瘍の転帰(治療、転帰)
強化された調査の要件は、今後10年間にわたり、FDAにより定期的に再評価される。
FDAは、これまでにTNF阻害剤に関連した悪性腫瘍の報告に関し、2008年6月、2009年8月、および2011年4月に通達を行っている。
TNF阻害剤とは
- クローン病 、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎{かんせんせい かんせつえん}、尋常性乾癬{じんじょう せい かんせん}、または若年性特発性関節炎に対して用いられる生物学的製剤の一種
- TNF阻害剤には、レミケード (インフリキシマブ)、エンブレル(エタネルセプト)、ヒュミラ(アダリムマブ)、Cimzia〔シムジア〕(セルトリズマブペゴル)、およびシンポニー(ゴリムマブ)が含まれる
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石岡 優子 訳
須藤 智久 (国立がん研究センター東病院 臨床開発センター・臨床薬学修士)監修
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