エプラツズマブが小児の再発ALLに有意な活性を示す

キャンサーコンサルタンツ
2008年9月

ニューヨーク大学の研究者らは、Epratuzumab(エプラツズマブ)を単独投与あるいは化学療法と併用投与することにより、小児再発急性リンパ性白血病(ALL)に対して有意な活性を示すことを発表した。この第2相試験の詳細は、Journal of Clinical Oncology誌2008年8 月号に掲載された。

再発または一次治療抵抗性の小児ALL患者は予後が不良であり、長期生存への唯一の現実的な望みは同種幹細胞移植による治療である。この治療は寛解期の患者に行うと最も有効である。

エプラツズマブはBリンパ球表面に発現するCD22抗原を標的とした、ヒト化モノクローナル抗体である。再発B細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)患者に対する治療において、この抗体を単独投与あるいは併用投与することにより有意な活性を有することがいくつかの研究で示されている。

本研究では、小児再発ALL患者15人に対し、エプラツズマブを単独投与した後、標準的な併用再導入化学療法との併用投与を行い、評価した。15人中9人が完全寛解に達し、そのうちの7人は微小残存病変検査が陰性であった。著者らは、エプラツズマブを再導入化学療法に安全に上乗せすることが可能であり、予想以上の完全寛解率が望めると結論づけている。

コメント:
これらのデータは大変有望なものであり、エプラツズマブを上乗せすることにより、小児再発ALL患者における治癒の可能性を示している。

参考文献:
[1] Raetz EA, Cairo MS, Borowitz MJ, et al. Chemoimmunotherapy reinduction with epratuzumab with acute lymphoblastic leukemia in marrow relapse: a Children’s Oncology Pilot Study. Journal of Clinical Oncology. 2008;26:3756-3762.


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翻訳担当者 河原 恭子

監修 千種 葉月(薬学)

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