進行した胃・食道がんに2種の免疫チェックポイント(PD-1、TIGIT)阻害薬併用が有望
米国臨床腫瘍学会(ASCO)
ASCO専門家の見解
「PD-1阻害薬+化学療法の併用は、胃・食道がんに対する標準的な一次治療です。進行した胃・食道がんには新たな治療法の開発が必要です。domvanalimab[ドムバナリマブ]の追加は有効性が期待できますし、副作用が現在の標準治療に追加されることはなさそうです」。- Pamela Kunz医師、ASCO消化器がん専門家
プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)阻害薬zimberelimab[ジムベレリマブ]+化学療法併用に、T細胞免疫グロブリンおよびITIMドメイン(TIGIT)阻害薬domvanalimab[ドムバナリマブ]を追加することで、進行した胃・食道がんの転帰が改善する可能性がある。本試験結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)プレナリーシリーズの2023年11月セッションで発表される。
PD-1阻害薬を最先端の化学療法に追加した治療法はこの分野に変革をもたらし、遠隔転移を有する胃・食道がんの標準治療となった。しかしながら、この治療には耐性がしばしば発現し、新たな治療選択肢の必要性を提示している。
EDGE-Gastric試験のこの群には、治療歴のない胃、胃食道接合部または食道腺がん患者41人が登録された。患者の治療期間中央値は33週間であり、59%の患者は本試験で決められた手順に沿った治療を継続し、有害事象に関連して死亡した患者はいなかった。本試験に参加した全患者のintent-to-treat(ITT)解析における客観的奏効率(改善が認められた患者数)は59%、6カ月時点の無増悪生存率は77%であった。
PD-1は免疫細胞に発現するタンパクである。PD-1はPD-L1と呼ばれる別のタンパクと相互作用する。PD-L1は、がん細胞が免疫系を回避して増殖するのを助ける。このPD-1およびPD-L1タンパクの相互作用が阻害されると、身体の免疫系およびがんと闘う能力が高まる。PD-L1のTAP(腫瘍面積陽性)スコアが5%以上の高発現の患者における客観的奏効率は80%、6カ月無増悪生存率は93%であった。
重篤な治療関連副作用は患者の24%に発現したが、ドムバナリマブとジムベレリマブに関連するものはなかった。
「本試験の予備的結果は、特に腫瘍のPD-L1発現が高い患者において有望です。しかし、さらなる追跡調査により、無増悪生存期間や全生存期間など、より長期的な有効性を評価することが可能になります。重要なことは、この新しい併用療法の安全性プロファイルが抗PD-1+化学療法併用と同程度であることです」と、本試験の筆頭著者でメモリアルスローンケタリングがんセンターのGastrointestinal Oncology Service責任者であるYelena Y. Janjigian医師は述べた。
アブストラクト
- 監訳 加藤恭郎(緩和医療、消化器外科、栄養管理、医療用手袋アレルギー/天理よろづ相談所病院 緩和ケア科)
- 翻訳担当者 奥山浩子
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- 原文掲載日 2023/11/06
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