胃・食道がんに新たな抗体薬物複合体が有望

米国臨床腫瘍学会(ASCO)

ASCOの見解

「最近行われた第3相SPOTLIGHT試験およびGLOW試験により、CLDN18.2は胃・食道がん治療の標的として有望であることがわかりました。CLDN18.2は進行した胃・食道がん患者にとって最も期待の持てる新規標的の一つであり、この標的を探る方法としてCMG901があります。患者は、進行した胃・食道がんに対する全く新しいクラスの治療法の可能性に期待を寄せ、われわれはみな今後の研究を心待ちにしています。
- Pamela Kunz医学博士、ASCO消化器がん専門家

クローディン18.2(CLDN18.2)を標的とする画期的な抗体薬物複合体CMG901は、クローディン18.2陽性の胃がんおよび胃食道接合部がん患者に対する新しい治療選択肢となる可能性がある。本研究結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)プレナリーシリーズの2023年11月のセッションで発表される。

著者らによると、胃がんおよび胃食道接合部がんの治療は最近進歩しているが、標的治療の分野での進歩は限られている。CLDN18.2は胃や胃食道接合部のがん細胞によく見られるタンパク質である。本試験は、画期的なCLDN18.2特異的抗体薬物複合体(化学架橋剤を介して細胞毒性薬剤と共有結合した抗体)である可能性のあるCMG901の、進行胃がんまたは胃食道接合部がんに対する有効性と安全性を評価するはじめての試験である。

中国における本試験は、用量漸増期(パートA;用量範囲0.3~3.4mg/kg)と用量拡大期(パートB;用量2.2、2.6、3.0mg/kg)から構成され、進行胃がんまたは胃食道接合部がんおよびその他の固形がん患者を対象に、CMG901の安全性、忍容性および抗腫瘍活性を評価した。主要評価項目は、パートAでは安全性、忍容性および最大耐量、パートBでは客観的奏効率(腫瘍サイズの縮小)および第2相試験推奨用量(RP2D)であった。

最大耐量は用量漸増中に達成されなかった。合計113人の患者(パートAから6人、パートBから107人)にCMG901が2.2-3.0mg/kgの用量で投与された。治療後に最低1回の精査を受けた89人のCLDN18.2陽性患者のうち、客観的奏効率は32.6%であった。CLDN18.2陽性患者93人全員について、追跡期間中央値5.98カ月後の無増悪生存期間中央値は4.76カ月であった。

「本試験の結果より、CMG901は治療歴の多い患者集団において、管理可能な安全性プロファイルで有効であることが明らかになりました。CMG901は、高い医療ニーズが未だ満たされていない領域であるCLDN18.2発現胃がんおよび胃食道接合部がんに対する有望な治療薬と思われます」と、本試験の筆頭著者で中国広州市の中山大学がんセンターのRui-hua Xu医学博士は述べた。

アブストラクト

  • 監訳 野長瀬祥兼(腫瘍内科/市立岸和田市民病院)
  • 翻訳担当者 奥山浩子
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  • 原文掲載日 2023/11/06

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