術前化学放射線療法は食道癌患者の生存期間を延長する

キャンサーコンサルタンツ

食道癌または食道胃接合部癌の患者において、術前化学放射線療法を併用すると、外科手術単独と比較して、生存期間中央値が2倍に延長したという結果がNew England Journal of Medicine誌に発表された第3相臨床試験の結果によって示された。

食道は、食物や液体が胃に達する際に通過する筋層の管である。米国において、毎年17,000人以上が食道癌と診断され、15,000人以上が食道癌により死亡している。外科的切除が可能な食道癌患者にとって、外科手術が治療において重要な役割を果たしている一方、術前の化学療法および放射線治療が、予後の改善をもたらすのかどうかについては明らかになっていない。

ネオアジュバント(術前)化学放射線療法の有効性を検証するために、オランダの研究者らは、切除可能な腫瘍を有する患者366人を対象に第3相臨床試験を実施した。患者は、外科手術単独、あるいは外科手術の前に化学療法および放射線治療を併用するいずれかの群に割り当てられた。放射線治療と同時に行われる化学療法として、パクリタキセルおよびカルボプラチンが投与された。

この試験結果により、術前化学放射線療法が死亡のリスクを34%減少させることが示された。生存期間中央値は、外科手術単独群で24カ月であったのに対して、化学放射線療法併用群では49.4カ月であり、有意な延長がみられた。さらに、化学放射線療法併用群においては、切除断端の1mm以内に腫瘍が確認されない完全切除が92%達したのに対し、外科手術単独群では69%であった。

化学放射線療法を併用した患者群において最もよくみられた血液毒性は、白血球減少および好中球数減少であった。非血液毒性として最もよくみられたものは、食欲不振および疲労であった。

研究者らは、治癒可能な食道癌または食道胃接合部癌の患者にとって、術前化学放射線療法は安全であり、生存期間の延長が期待できると結論付けた。

参考文献:
van Hagen P, Hulshof JJB, van Lanschot EW, et al. Preoperative chemoradiotherapy for esophageal or junctional cancer. New England Journal of Medicine. 2012; 366: 2074-2084.


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翻訳担当者 谷口 淳

監修 須藤智久(薬学/国立がん研究センター東病院 臨床開発センター)

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