ASCO2019年次総会で発表されるトップ演題

がん治療へのアクセス改善に関する最新データ、およびプレシジョン医療の進歩が、
世界最大規模のがん
臨床学術学会ASCO2019で注目

世界中のがん専門家が、来たる米国臨床腫瘍学会(ASCO)第55回年次総会に集結し、患者治療に影響を及ぼす最新の臨床がん研究情報を共有する。膵臓がん、前立腺がん、小児がんに対する分子標的療法の進歩および、がん治療へのアクセス障害を解消する新アプローチなど、注目の演題が総会の公式プレスプログラムに含まれている。

5月31日から6月4日までシカゴで開催される2019年ASCO年次総会には、世界中から32,000人を超えるがん専門家が集まる。今年の総会のテーマは、「すべての患者をケアし、すべての患者から学ぶ(Caring for Every Patient, Learning From Every Patient」である。

年次総会での発表として2,400以上の演題が受理され、オンライン公開としてさらに3,200以上の演題が受理された。これらの演題の大半は、5月15日(水)午後5時(米国東部標準時)にabstracts.asco.orgで公開される。最も重要な全体発表(プレナリー)演題を含む当日発表演題(Late-Breaking Abstracts:LBA)は年次総会の開催期間中、会場で配布され、毎日行われる記者会見で紹介される。完全報道解禁日程はオンラインで入手できる。

報道解禁前プレスキャスト:5月15日(水)正午(東部標準時)

5月15日の演題公表に合わせて、当日事前に報道解禁前プレスキャストが行われ、このグループから4つの注目すべき重要演題が紹介される。5月15日午後5時(東部標準時)に報道解禁となるのは、本バーチャルプレスキャストに示す以下の研究である。

・Women’s Health Initiative(女性の健康イニシアチブ)の一環として行った食習慣改善の試みで得た20年近くにわたるデータによる評価:バランスのとれた低脂肪食が閉経後女性の乳がん死亡リスクに及ぼす影響。 (アブストラクト520)

・標準的な化学療法に耐えることができない高齢または脆弱な胃食道接合部がん患者に対する緩和化学療法レジメンを評価するランダム化第3相臨床試験。 (アブストラクト4006)

・特定の遺伝子変異を有する中枢神経系がんおよび神経芽細胞腫の小児患者における分子標的治療薬entrectinib[エントレクチニブ]を評価する第1/1B相試験。 (アブストラクト10009)

・NCI-COG Pediatric MATCH (NCI小児腫瘍グループによる治療選択のための小児分子解析)第2相臨床試験に登録された患者の小児がんにおける、標的化可能な分子変化の発現頻度に関する研究。 (アブストラクト10011)

年次総会会場で発表される研究
年次総会期間中、5月31日(金)午後1時から午後2時(中部標準時)、5月31日から6月3日(土・日・月曜日)午前8時から午前9時(中部標準時)、記者会見「本日のニュース」が行われる。会場で毎日行われるこの記者会見では、以下のLBAが紹介される。最新の記者会見日程では、さらに追加される演題も含め、各日の記者会見で取り上げる演題の詳細がわかる。この最新日程は5月24日(金)までに掲載される予定である。

• Affordable Care Act(医療費負担適正化法)に関連したメディケイド(*米国公的保険)適用拡大と、適時がん治療における人種的格差との相関関係を検証した電子カルテ解析。 (アブストラクトLBA1、プレナリーセッション)

• 転移性ホルモン感受性前立腺がんに対する初回標準治療へのエンザルタミド(販売名:イクスタンジ)追加の影響を評価したランダム化第3相試験。 (アブストラクトLBA2、プレナリーセッション)

• 進行軟部肉腫患者に対するオララツマブ+ドキソルビシン併用投与をドキソルビシン単剤投与と比較したランダム化第3相試験。 (アブストラクトLBA3、プレナリーセッション)

• 遺伝性BRCA遺伝子変異を有する膵臓がん患者におけるPARP阻害剤オラパリブ(販売名:リムパーザ)による維持療法を検証するランダム化第3相試験。 (アブストラクトLBA4、プレナリーセッション)

• 民間保険および地域所得が多発性骨髄腫患者の生存に影響を与えるか否かを検証した解析。 (アブストラクトLBA107)

• 進行非小細胞肺がんの臨床試験の患者適格性を拡大する新戦略の潜在的影響に関する研究。 (アブストラクトLBA108)

• 大腸がんが肝臓に転移した患者における腹腔鏡手術を開腹手術と比較したランダム化第3相試験。 (アブストラクトLBA3516)

• Affordable Care Act(医療費負担適正化法)と、早期卵巣がん診断と治療までの時間との相関関係を調べたNational Cancer Database(全国がんデータベース)解析。 (アブストラクトLBA5563)

• 転移を有する非小細胞肺がんにおけるペムブロリズマブの安全性と有効性を検証するKEYNOTE-001試験の5年生存率データ。 (アブストラクトLBA9015)

• セクシュアルハラスメントと性差別を検証した婦人科腫瘍専門医調査 。(アブストラクトLBA10502)

メディアリソース
メディア登録:5月15日の報道解禁前プレスキャストへの参加や、シカゴでのASCO年次総会への参加登録を希望する場合、ASCOのメディア本部(mediahq.asco.org)にアクセスしてください。 詳細な手順はオンラインで。

5月15日のプレスキャストへの参加を希望する場合、必ず5月10日(金)までにメディア本部へ申し込むこと。会場参加には事前登録が必要で、5月17日(金)までに登録完了すること。

年次総会メディアリソースセンター:プレスリリース、記者会見日程、報道規制方針、高解像度写真、およびVirtual Press Room(第三者機関による企業および団体のプレス資料のオンラインリポジトリ)については、asco.org / AMMRCへ 。

Cancer.Net:腫瘍専門医が承認した患者情報に関するASCOウェブサイト

翻訳担当者 山田登志子

監修 小宮武文(腫瘍内科/トゥーレーン大学)

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原文掲載日 

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