ゴンザレスプロトコルに関する質疑応答

http://cancer.gov/clinicaltrials/developments/qa-gonzalez-trial1299

膵臓癌治療の膵臓酵素のゴンザレス・プロトコルについての一般的な質問


1.ゴンザレス・プロトコル臨床試験とは何ですか?

ゴンザレス・プロトコル臨床試験とは、5年間にわたって実施される臨床試験であり、米国国立衛生研究所の国立補完・代替医療局 (NCCAM)が完全に資金を提供しています。この臨床試験の目的は、外科手術で摘出できない進行膵臓癌の標準治療を、ゴンザレス・プロトコルとして知られている膵酵素と栄養補助食品を組み合わせた療法と比較して検証することです。

2.ゴンザレス・プロトコル臨床試験はどのように行われるのですか?

この臨床試験の当初の計画は、膵臓癌患者90人を2つの治療群のうちのいずれかに無作為に割り当てることでした。1つ目の治療群は、外科手術で摘出できない進行膵臓癌の標準治療で、ゲムシタビンと呼ばれる薬剤を7週間にわたり週に1回30分間静脈内投与を行いました。2つ目の治療群は、栄養療法群と呼ばれ、患者は膵酵素を16日間、4時間おき及び食事時に服用しました。患者はまた、クエン酸マグネシウム、パパイヤプラス、ビタミン、ミネラル、微量元素および動物性腺製品など栄養補助食品というかたちで毎日最高150個を服用しました。コーヒー浣腸も毎日行われました。

無作為化臨床試験に参加した患者はほんの数人でした。そのため、臨床試験の計画は、無作為化臨床試験から、患者を栄養療法群だけに組み入れる単一治療群の非無作為化ケース・コホート研究へと変更されました。新治療または旧治療に選別された患者が完全に比較可能でない場合があるため、このような比較が困難であることは知られてはいますが、医師達はゴンザレス・プロトコルで治療を行う患者を、ゲムシタビンを含む化学療法で同時期に治療を行う患者のグループと比較する計画をたてています。

3.なぜこの臨床試験を開発したのですか?

1993年、ニューヨークの医師であるニコラス・ゴンザレス氏は、栄養療法での治療結果の主要部分を米国国立癌研究所(NCI)に提出しました。ゴンザレス医師は、様々な癌患者11例に対し治療を行いました。しかし、ゴンザレス医師の治療法の有効性は明確ではありませんでした。治療が有益かどうかを明確にするために、前向き研究を実施すべきとNCIは考えました。ゴンザレス医師は、膵臓癌患者に対してこの治療が有益であるという印象を持ったため、膵臓癌患者を対象に臨床試験を実施することを選択しました。ネスレ㈱の後援による一連の最初の試験で、11例中5例が2年以上生存しました。1999年に結果がNutrition and Cancer誌に掲載されました。(学会誌の要旨を参照。)

ゴンザレス・プロトコル臨床試験の症例は平均で17.5ヵ月生存しました。この数字は進行膵臓癌患者の生存期間のほぼ3倍です。この治療を受けた患者の腫瘍の侵襲性が低かった、または試験の初期には症状がより良好であった可能性があります。しかし、この一連の試験で見られた生存期間だけで、Columbia Presbyterian HospitalのグループがNIHと共同で前向き無作為化臨床試験を実施するのに十分でした。

4.どのような膵臓癌患者が臨床試験に参加するのですか?

II期、III期およびIV期の膵臓癌患者が参加します。年齢は18から65歳で、以前に化学療法または放射線治療を受けたことがなく、さらに組入れ前少なくとも1週間に手術を受けていない患者です。

5.膵臓癌と闘うためにゴンザレス医師が膵酵素を使用するのはなぜですか?

化学治療は、癌細胞の分裂を止めて癌細胞の成長を止める、すなわち死滅させる、ということが知られています。ゴンザレス医師は、膵酵素が化学療法のような働きをして癌細胞を殺すのではと考えました。ゴンザレス・プロトコルの一部は、膵酵素には癌を殺す特性があることを示した19世紀末から20世紀初頭にかけてエディンバラ大学で行われた研究から導き出した理論に基づいています。ゴンザレス医師の治療法は、この治療法の開発者とされており、“癌に対するある1つの答え(One Answer to Cancer)”という著書でその治療法報告したWilliam Kelley, D.D.Sと仕事をした経験に主に基づいています。

6.誰がゴンザレス・プロトコル臨床試験を支援して、どの程度の支援が行われているのですか? この5年にわたる臨床試験に提供された140万ドルは、すべてNIHのNCCAMにより提供されました。140万ドルのうち48,000ドルが1年目に支出されました。2年目に196,000ドルが繰越分として承認されました。当初、ニューヨークのColumbia-Presbyterian UniversityのNCIの総合癌センターの1つとして、既存の助成金によって支援が行われていました。

資金調達のメカニズムが確立したのは、NCCAMがもともとは調整を行う事務局(元代替医療事務局)で、助成金を直接提供することができなかった頃でした。さらに、この資金調達のメカニズムは、このような臨床試験を監督するのに必要な研究基盤および臨床経験を提供するにあたり、当時有効で最も都合の良い選択肢でした。NCCAMとNCIは、プロジェクトの共同研究を引き続き実施し、この研究が科学的な厳正さをもって実施されることを確認し、一般の人達にとって臨床研究が身近になるよう研究者を支援します。この臨床試験に関する情報は、NCIの臨床試験データベースから現在入手可能です。

7.膵臓癌の生存率はどれくらいですか?

膵臓の癌はほとんど治療不能です。膵臓癌は米国の癌による死亡原因の第5位です。腫瘍が完全に膵臓に限局されれば生存率が最も長くなります。残念なことに、病気のこの段階は症例の20%未満にすぎず、完全に腫瘍切除した患者の5年生存率はおよそ20%という結果となっています。

膵臓癌患者全ての5年生存率は、4%に過ぎません。進行癌患者の全生存率は5年間で1%未満であり、1年以内に多くの患者が亡くなっています。いずれの段階の膵臓癌患者も、化学療法、放射線療法および手術に対し反応が乏しいため、臨床試験の対象であると見なしても適切であるとされるでしょう。ただし、症状の苦痛緩和は通常の治療法で達成できる可能性があります。

8.どれくらいの人が膵臓癌にかかっているのですか?

2004年には、男女半々、推定31,860人が膵臓癌にかかると見られています。死亡率が高いため、2004年には31,270人が膵臓癌で亡くなると予想されています。(注:2004年に新たに診断された癌によって亡くなるという訳ではありません。)

(ポメラニアン訳・しげどん監修 )

(1999/12/30、更新2004/12/8)

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

膵臓がんに関連する記事

米FDAが、非小細胞肺がんと膵臓腺がんにzenocutuzumab-zbcoを迅速承認の画像

米FDAが、非小細胞肺がんと膵臓腺がんにzenocutuzumab-zbcoを迅速承認

2024年12月4日、米国食品医薬品局は、以下の成人を対象にzenocutuzumab-zbco[ゼノクツズマブ-zbco](Bizengri[販売名:ビゼングリ]、Merus NV社...
50歳未満の成人における膵臓がんに関する知識ギャップの画像

50歳未満の成人における膵臓がんに関する知識ギャップ

50歳未満の膵臓がん罹患率は上昇しているが、ほとんどの人が、膵臓がんは高齢者だけが罹患する病気であり、そのリスクを減らすためにできることは何もないと思い込んでいることが、オハイオ州立大...
AIが前がん性膵嚢胞の特定を支援の画像

AIが前がん性膵嚢胞の特定を支援

新しい低侵襲の臓器温存による治療法では、手術なしで熱による治療により前がん組織を破壊

膵臓がんのような、症状は現れにくいが致命的な疾患の早期発見に関しては、早期に発見して疾患の悪性度を予...
膵がん転移巣を標的とした放射線治療の追加により無増悪生存期間が延長の画像

膵がん転移巣を標的とした放射線治療の追加により無増悪生存期間が延長

転移膵臓がんの臨床試験で報告された中で最長の無増悪生存期間を達成オリゴ転移(少数の転移巣)のある膵がん患者で、標準治療の化学療法に転移巣を標的とした放射線治療を追加することで無...