FDAが転移性膵腺がんの治療にイリノテカンリポソーム注射剤を承認
米国食品医薬品局(FDA) Oncology Approved Drug
米国食品医薬品局(FDA)は、2015年10月22日、ゲムシタビンを含む治療後に増悪した転移性膵腺がん患者の治療薬として、イリノテカンリポソーム注射剤(商品名:Onivyde、Merrimack Pharmaceuticals社)をフルオロウラシル(5FU)とロイコボリン(LV)との併用投与で承認した。イリノテカンリポソームは、転移性膵腺がん患者の治療に対し、単剤としての使用は承認されていない。
今回の承認は、ゲムシタビンを含む治療後の増悪が確認されている転移性膵腺がん患者417人を登録した多施設共同、ランダム化、非盲検、実薬対照、3群比較試験において全生存期間(OS)の改善が明らかになった結果に基づくものである。患者はランダム化により3群に割り振られ(1:1:1)、疾患の増悪あるいは毒性が許容範囲を超えるまで、イリノテカンリポソームと5FUおよびLVとの併用(n=117)、イリノテカンリポソーム(n=151)または5FUおよびLV(n=149)が投与された。UGT1A1*28対立遺伝子がホモ接合体である患者に関しては、イリノテカンリポソームが含まれる2つの投与群で、イリノテカンリポソームの用量を減量して投与を開始した。試験の主要評価項目を全生存期間として、イリノテカンリポソームが含まれる2つの投与群をそれぞれ、5FU/LVの対照群と比較した。無増悪生存期間(PFS)および奏効率(ORR)が副次的評価項目であった。
試験では、ランダム化によりイリノテカンリポソーム+5FU/LV併用群に割り付けられた患者の全生存期間は、5FU/LV群に比べて統計学的に有意な改善が認められた[HR 0.68(95%CI:0.50、0.93)、p=0.014、ログランク検定]。全生存期間中央値はそれぞれ、6.1カ月および4.2カ月であった。このほか、無増悪生存期間も、ランダム化によりイリノテカンリポソーム+5FU/LVを投与された患者の方が、5FU/LVを投与された患者よりも有意に長く[HR 0.55(95%CI:0.41、0.75)]、無増悪生存期間中央値はそれぞれ、3.1カ月および1.5カ月であった。奏効率は両群とも低かった(7.7%対0.8%)。ランダム化により5FU/LVを投与された患者に比較して、イリノテカンリポソーム単剤を投与された患者の全生存期間に改善は認められなかった[ハザード比=1.00、p=0.97]。
イリノテカンリポソーム注射剤の重篤なリスクとして、好中球減少性発熱または敗血症、重度の下痢および間質性肺疾患などが認められた。イリノテカン塩酸塩の投与に伴って、重度の過敏症反応が生じた。イリノテカンリポソーム注射剤は、イリノテカンリポソームまたはイリノテカン塩酸塩に重度のアレルギー反応を示す患者には禁忌である。最も頻繁に認められた薬物有害反応は、下痢、倦怠感/無力症、嘔吐、悪心、食欲低下、口内炎および発熱であった。最も頻繁に認められた重度(グレード3または4)の臨床検査値異常は、リンパ球減少症および好中球減少症であった。イリノテカンリポソームの投与中止に至った有害反応で最も頻度が高かったのは、下痢、嘔吐および敗血症であった。用量減量または投与延期の原因となった有害反応で最も頻度が高かったのは、好中球減少症、下痢、悪心/嘔吐、貧血、倦怠感および血小板減少症であった。
イリノテカンリポソームの推奨される用量およびスケジュールは、2週間毎に、ロイコボリンおよびフルオロウラシルの投与前に70mg/m2を90分間かけて点滴静注する。UGT1A1*28対立遺伝子がホモ接合体である患者では、イリノテカンリポソームの推奨される開始用量は、2週間毎に50mg/m2である。
詳細な処方情報は、
http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2015/207793lbl.pdf
で閲覧可能である。
医療従事者は、医薬品または医療機器の使用との関連が疑われる重篤な有害事象はすべて、オンラインフォーム(http://www.fda.gov/medwatch/report.htm)、ファックス(1-800-FDA-0178)、オンラインに記載されている料金受取人払い用紙の郵送または電話(1-800-FDA-1088)で、FDAのMedWatch報告システムに報告する必要がある。
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