全身免疫調整剤IMM-101が進行膵臓がん患者の生存期間を延長、QOLを維持-IMAGE1試験結果
進行膵臓がん患者を対象にIMM-101 + ゲムシタビン併用とゲムシタビン単独を比較したランダム化非盲検第2相試験の結果
テーマ:消化器がん/免疫腫瘍学/抗がん剤および生物学的製剤
ランダム化非盲検第2相試験(IMAGE1)で、全身免疫調整剤IMM-101 + ゲムシタビンの投与を受けた進行膵臓がん患者における生存面の利益に、生活の質(QOL)の向上も伴っていた。QOLについては2015年7月1日~4日にスペインのバルセロナで開催されたESMO世界消化器がん学会で報告された。著者は、イギリスのロンドンにあるセント・ジョージ大学とImmodulon Therapeutics社の研究者らである。
膵臓がん患者と介護者にとっての3つの最重要事項は、QOL、延命、症状管理である。既存の治療方法では、生存期間は延びる一方でQOLを犠牲にする可能性がある。
IMAGE1試験チームは、加熱殺菌されたマイコバクテリウム・オブエンスを含む全身免疫調整剤であるIMM-101は、ゲムシタビンとの併用により、この患者集団の生存を有意に向上させたと報告した。この結果は2015年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で報告され、バルセロナで行われたESMO世界消化器がん学会で研究チームは、本試験の併用療法は化学療法単独に比べてQOLの特定の側面を維持し、実際には改善する証拠を示した。
IMAGE1試験において、WHOのパフォーマン・ススコアが0~2(n=110)の進行膵臓がん患者を、最大で12サイクルのIMM-101(皮内投与) + ゲムシタビンの併用群(n=75)とゲムシタビン単独群(n=35)に無作為に割当てた。
第一の関心事である有効性エンドポイントは全生存期間(OS)とした。無増悪生存期間(PFS)、安全性、忍容性、QOLも評価した。患者は、がんに特化したEORTC QLQ-C30質問票への記入を求められた。この質問票は、5つの機能的尺度(身体、役割、認知力、感情、社会的機能)、3つの症状に関する尺度(疲労、痛み、悪心)、包括的な健康状態の尺度および単独の項目(呼吸困難、食欲不振、便秘、下痢、不眠、経済的な影響)を含む。膵臓がんに特化した質問票(QLQ-PAN26には12の単独項目と5つの複合的スコア)にも記入した。回答結果を用いて、最小二乗平均を使用した反復測定共分散分析によりQOLスコアを算出した。
2015年の米国臨床腫瘍学会で既報のとおり、IMM-101は臨床的に意味のあるOSとPFSの延長と関連し、化学療法や基礎疾患による負担以上に負担が増えることはなかった。転移性疾患を有する患者(n=92)が、併用療法による利益を最も多く得、全生存期間の中央値がゲムシタビン単独(n=28)の4.4カ月からIMM-101 + ゲムシタビン併用(n=64)の7カ月へと、59%もの有意な増加を示した(p=0.01)。
QOLに関する質問票の結果では、IMM-101 + ゲムシタビン併用群の患者で、QOLが低下することなく、いくつかの生存パラメータが臨床的に意味のある全般的な改善を示し、これは両群の最小二乗平均の差により判定された。IMM-101 + ゲムシタビン併用群の患者と比較して、化学療法単独群の患者の包括的な健康と機能的な指標のスコアは、本試験の早期から悪化していた。認知、社会的、情緒的機能のような感情的行動への効果が一貫した、臨床的に意味のある改善を示したことは注目に値する。それぞれの時点での被験者数と質問票記入率にばらつきがあることは正式な結果の統計解析における限界であるが、長期間にわたる最小二乗平均の差は、IMM-101 + ゲムシタビン併用療法ではQOLの低下により長い期間がかかるということを支持している。
著者らは、IMM-101 +ゲムシタビン併用療法を受けた進行膵臓がん患者の有意な生存面の利益に、QOLの低下は伴わなかったと結論づけた。それどころか、患者はいくつかのQOLスコアの改善を報告した。QOLを維持・改善して、機能面の低下なく生存期間を延ばすことは進行性膵臓がん患者の治療における重要な側面である。
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