FDAが稀なタイプの膵臓癌に対してスーテントを承認

FOR IMMEDIATE RELEASE:2011年5月20日
Media Inquiries: Erica Jefferson, 301-796-4988
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

FDA が稀なタイプの膵臓癌に対してスーテントを承認

米国食品医薬品局(FDA)は本日、手術による切除不能または他の部位に広がった(転移性)、進行性膵神経内分泌腫瘍患者の治療薬としてスーテント(スニチニブ)を承認した。

膵神経内分泌腫瘍は、増殖が遅く稀な疾患である。米国における新規症例数は年間1,000人未満と推定される。

FDAによる今回の新たな承認は、本疾患を有する患者の治療薬としては2番目にあたる。当局は5月5日にアフィニトール(エベロリムス)を承認している。

 「FDAは、癌患者に可能な限り多くの治療選択肢を提供することが重要であると考えている」と、FDA医薬品評価研究センターの抗腫瘍薬製品室長であるRichard Pazdur医師は語った。「当局は製薬企業とともに革新的な治療薬の販売に向けて取り組んでおり、また既承認薬の新たな適応に向けての研究を維持するよう促している。」

スーテントの安全性および有効性は、転移性(進行期)あるいは局所進行性(手術による切除不能な)癌患者171人を対象にスーテントあるいはプラセボ(砂糖錠)の投与を行った単一試験により確立された。本試験の目的は、腫瘍が転移あるいは悪化するまでの患者の生存期間(無増悪生存期間)を測定することであった。

試験の結果によると、スーテント投与を受けた患者において癌が転移または悪化することなく生存した期間の中央値は10.2カ月であったのに対して、プラセボ投与を受けた患者では5.4カ月であったことから、スーテントの有効性が実証された。

膵神経内分泌腫瘍に対してスーテント治療を受けた患者に発症した頻度の高い副作用は、下痢、嘔気、嘔吐、倦怠感、食欲不振、高血圧、脱力(無力症)、腹痛(腹部痛)、毛髪変色、口腔内の炎症(口内炎)、および感染防御に携わる白血球の減少(好中球減少症)であった。

スーテントは他に、進行期の腎臓癌(転移性腎細胞癌)、および胃腸または食道の稀な癌であるGIST(消化管間質性腫瘍)患者の治療薬としてFDAにより承認されている。

スーテントはニューヨークに本社を置くファイザー社が販売している。

******
栃木 和美 訳
辻村 信一(獣医学/農学博士、メディカルライター)監修 
******

原文

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

膵臓がんに関連する記事

米FDAが、非小細胞肺がんと膵臓腺がんにzenocutuzumab-zbcoを迅速承認の画像

米FDAが、非小細胞肺がんと膵臓腺がんにzenocutuzumab-zbcoを迅速承認

2024年12月4日、米国食品医薬品局は、以下の成人を対象にzenocutuzumab-zbco[ゼノクツズマブ-zbco](Bizengri[販売名:ビゼングリ]、Merus NV社...
50歳未満の成人における膵臓がんに関する知識ギャップの画像

50歳未満の成人における膵臓がんに関する知識ギャップ

50歳未満の膵臓がん罹患率は上昇しているが、ほとんどの人が、膵臓がんは高齢者だけが罹患する病気であり、そのリスクを減らすためにできることは何もないと思い込んでいることが、オハイオ州立大...
AIが前がん性膵嚢胞の特定を支援の画像

AIが前がん性膵嚢胞の特定を支援

新しい低侵襲の臓器温存による治療法では、手術なしで熱による治療により前がん組織を破壊

膵臓がんのような、症状は現れにくいが致命的な疾患の早期発見に関しては、早期に発見して疾患の悪性度を予...
膵がん転移巣を標的とした放射線治療の追加により無増悪生存期間が延長の画像

膵がん転移巣を標的とした放射線治療の追加により無増悪生存期間が延長

転移膵臓がんの臨床試験で報告された中で最長の無増悪生存期間を達成オリゴ転移(少数の転移巣)のある膵がん患者で、標準治療の化学療法に転移巣を標的とした放射線治療を追加することで無...