ルキソリチニブとカペシタビンの併用は局所・全身性炎症を呈する転移性膵臓癌患者の生存率を改善
キャンサーコンサルタンツ
ルキソリチニブ(ruxolitinib、商品名Jakafi)とカペシタビンの併用治療が、局所や全身性の炎症を呈する転移性膵臓癌患者の全生存率および無増悪生存期間を改善するという研究結果が2014年米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表され、Journal of Clinical Oncology誌に掲載された。
炎症は癌の一般的なマーカーの一つで、膵臓癌の予後不良に伴う。
炎症に関与するJAK-STAT経路は、化学的シグナル伝達機構の一つであり、細胞外から化学情報を伝達し、細胞内においてDNA活性に影響を及ぼす。
研究者らは、JAK-STAT経路を阻害する酵素で構成されるルキソリチニブが全生存率および無増悪生存期間を改善するかを検討した。
ゲムシタビンによる治療後に癌が進行した転移性膵臓癌患者127人が同研究に参加した。
そのうち64人にカペシタビンとルキソリチニブを、63人にはカペシタビンとプラセボを投与した。
主要評価項目は全生存率とし、副次評価項目は無増悪生存期間および全奏効率であった。
カペシタビンとルキソリチニブの併用療法群(RUX群)の全奏効率(ORR)は7.8%であったのに対し、プラセボ群は0%であった。
無作為化集団では、全生存率(OS)および無増悪生存期間(PFS)についても併用療法群のほうが良好であった。
炎症のある患者では、3カ月生存率がプラセボ群の29%に対して、併用療法群で48%であり、併用療法群で有意な効果が認められた。
6カ月生存率についても同様の結果が得られ、プラセボ群の11%に対して併用療法群では42%であった。
炎症のない患者では有意な効果は認められなかった。
全体として、ルキソリチニブとカペシタビンの併用投与の忍容性は高かった。
参考文献:
Herbert et al. A randomized double blind phase 2 study of ruxolitinib or placebo with capecitabine as second-line therapy in patients with metastatic pancreatic cancer. Presented at the 2014 ASCO Meeting. J Clin Oncol 32:5s, 2014 (suppl; abstr 4000).
c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved. These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein. Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc. 本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。 Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。 |
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
膵臓がんに関連する記事
米FDAが、非小細胞肺がんと膵臓腺がんにzenocutuzumab-zbcoを迅速承認
2024年12月17日
50歳未満の成人における膵臓がんに関する知識ギャップ
2024年12月13日
AIが前がん性膵嚢胞の特定を支援
2024年12月9日
膵臓がんのような、症状は現れにくいが致命的な疾患の早期発見に関しては、早期に発見して疾患の悪性度を予...
膵がん転移巣を標的とした放射線治療の追加により無増悪生存期間が延長
2024年9月9日