FDAが進行膵臓癌にアブラキサンを承認/FDAニュース
FOR IMMEDIATE RELEASE: 2013年9月6日
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FDAが進行膵臓癌にアブラキサンを承認
米国食品医薬品局(FDA)は本日、進行(転移性)膵臓癌患者の治療に対し、アブラキサン(タンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射液、アルブミン結合製剤)の適応拡大を承認した。
膵臓癌は米国の癌による死亡の中で、第4位の原因となっている。米国国立癌研究所(NCI)によれば、2013年には推定45,220人の患者が本疾患と診断され、38,460人が死亡するという。膵臓癌を完全に切除する、つまり治癒させるための唯一の選択肢は手術であるが、癌と診断された時点では手術を行うには遅すぎる場合が多い。
「膵臓癌と診断された時には既に癌が進行していて、外科的切除を行うことができない患者さんがよくおられます。このような状況下、あるいは手術後に膵臓癌が進行した状況下において、アブラキサンのような選択肢があれば患者さんの生命を延長させることができます」と、FDA医薬品評価研究センターの血液腫瘍製品室長Richard Pazdur医師は言う。
アブラキサンは特定の腫瘍増殖を遅らせることのできる化学療法薬である。アブラキサンは、膵臓癌が身体の他の部位に転移した患者に対して、他の化学療法薬であるゲムシタビンと併用して使用する。
FDAは、医薬品について迅速な審査を行う優先審査プログラムに基づきアブラキサンの新適応について審査した。本薬剤は希少な疾患または病態の治療を目的としているため、膵臓癌に対する希少疾病用医薬品にも指定された。
膵臓癌に対するアブラキサンの安全性と有効性は臨床試験で確認された。この試験では861人の参加者がアブラキサン+ゲムシタビン投与群またはゲムシタビン単独投与群にランダムに割り付けられた。アブラキサン+ゲムシタビンを投与された参加者の生存期間は、ゲムシタビンを単独投与された参加者よりも平均で1.8カ月長かった。さらにアブラキサン+ゲムシタビンを投与された参加者では腫瘍増殖の遅延(無増悪生存期間の延長)が認められ、ゲムシタビンのみを投与された参加者より平均で1.8カ月遅かった。
アブラキサン+ゲムシタビンを投与された参加者に多く認められた副作用は、感染と闘う白血球の減少(好中球減少症)、血中の血小板濃度の低下(血小板減少症)、疲労、四肢[手足]の神経障害(抹消神経障害)、悪心、抜け毛(脱毛症)、組織の腫脹(末梢性浮腫)、下痢、異常な熱(発熱)、嘔吐、発疹、脱水症などで、最も多く認められた重篤な副作用は、異常な熱(発熱)、脱水症、肺炎、嘔吐であった。他に、血流の細菌感染症(敗血症)、肺組織の炎症(間質性肺炎)などの臨床的に重要となる重篤な副作用が認められた。
アブラキサンは2005年に乳癌、2012年に非小細胞肺癌の治療薬としても承認されている。アブラキサンはニュージャージー州サミットに本社を置くセルジーン社が販売しており、ゲムシタビンはインディアナポリスに本社を置くイーライリリー社が販売している。
詳しい情報については以下を参照のこと:
・FDA: Office of Hematology and Oncology Products (血液腫瘍製品室)〔原文〕
・FDA: Approved Drugs: Questions and Answers (承認薬:質問と回答)〔原文〕
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緒方登志文 訳
畑 啓昭 (消化器外科/京都医療センター)監修
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