転移のある膵臓癌において生存期間が改善

キャンサーコンサルタンツ
2010年6月

FOLFIRINOXとして知られる併用化学療法は、現在の標準治療であるジェムザール(ゲムシタビン)に比較して転移のある膵臓癌の生存期間を改善する可能性があるという第3相試験の結果が2010年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表された。

膵臓癌は、致死率の高い癌の1つである。米国では毎年約4万3000人が膵臓癌と診断され、3万7000人以上がこの病気で死亡している。膵臓癌は進行期に発見されることが多く、早期発見と治療への取り組みの改善は研究の重要な優先課題である。

進行膵臓癌に対する標準化学療法は、ここしばらくはジェムザールの単独投与または他の薬剤との併用投与であった。しかし、最近の研究結果により、FOLFIRINOX(5-フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン)として知られる併用化学療法がより効果的である可能性が示されている。

最近の第3相試験において、FOLFIRINOXを投与した患者と、ジェムザールのみを投与した患者とで全生存(OS)を比較した。試験には、転移膵臓癌の患者342人が参加した。

•全生存期間は、ジェムザール単独群の約7カ月に対しFOLFIRINOX群は10カ月をわずかに上回った。
•無増悪生存期間も有意に改善し、FOLFIRINOX群で6カ月、ジェムザール群で3カ月であった。
•副作用は、ジェムザール単独群よりもFOLFIRINOX群のほうが多く認められたが、管理可能と判断された。

研究者らは、FOLFIRINOXを転移性膵臓癌患者の新しい標準治療とすることを提案しているが、副作用の発現の増加は患者や医師にとって懸念するところである。

参考文献:
Conroy T, Desseigne F, Ychou M, et al. Randomized phase III trial comparing FOLFIRINOX (F: 5FU/leucovorin [LV], irinotecan [I], and oxaliplatin [O]) versus gemcitabine (G) as first-line treatment for metastatic pancreatic 腺癌 (MPA): Preplanned interim analysis results of the PRODIGE 4/ACCORD 11 trial. Presented at the 2010 annual meeting of the American Society of Clinical Oncology. June 4-8, 2010. Chicago, IL. 要旨 4010.

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翻訳担当者 矢次真実

監修 金田澄子(薬学)

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